Amazon Kindle
米国Amazonが発表したE Ink社製ディスプレイ採用の電子ブック・リーダー。外見からはソニーのLibrieに似た印象だが「昼光下でも紙のように字が読める」というペーパー・ライクな表示部分と、Amazon Whispernetと呼ぶ携帯電話同様の無線通信の採用で、パソコンのようにホットスポットを探さなくとも、「ほぼ1分以内に」電子書籍をダウンロードできる(しかも通信料はAmazonが負担)のが特徴。重さは約320g。継続使用時間も、「ネットに接続しなければほぼ1週間」とのこと。約200タイトルの書籍を保存できる。と、なかなか魅力的。ただ、パッと見のデザインは(下の方のキーの配置とか)なんだかレトロというか野暮ったい(笑)。詳しいスペックや動画による紹介は米AmazonのKindleサイトを参照。
日本国内でも、さんざん試行が続いていた(そして多くは消え去って行った)「電子ブック」だが、今回のは規模が違う。Amazonはこれまで以上に多くの出版社を糾合し、当初から8万8000冊を提供。New York Timesのベストセラー・ランキングに載った100以上のタイトルのKindle版をすべて9.99ドルで提供するという圧倒的な組織化をもって市場に参入した。さらに、主要な雑誌、新聞のKindle版や、ブログもラインナップに揃えて、本も含めて「読むこと」の革命を志向している。電子ブックは、出版界の中ではとてもニッチな扱いだったが、Kindleは、(iPodと同様)これで市場を創造しよう、というわけである。
日本語版などは、まだ不明。「長期滞在型の旅行に出る時に、重たい本を何冊も旅行鞄に詰め込んで出かける」習慣のある米国人(人口の何割だ?)にはヒットしそうなのに比べて、日本でのニーズはややずれる感じがする。ただ、日本のメディア側はというと、新聞は横並びですくみ上がって(笑)乗らない気がするし、出版社もなかなか一筋縄ではいかない。だいたいKindle版の価格設定なんて、どうする?ブログの選定とかは大混乱しそう(笑)。ということで、色んな意味を含めてなかなか面白そうではある。
【追記08/05/20】TechCruchによれば、Kindleのこれまでの販売台数は1-3万台とのこと。ふーむ、意外に少ない。ただ同記事によると、CitiGroupのアナリストは、2010年にはKindleベースの収入(本体およびeBook)は4億~7億5000万ドルに上るだろうと楽観的に予想しているんだとか。
【追記08/06/05】マイコミジャーナルのシリコンバレー101というコラムによると、Kindle版の書籍売上高は、Amazonの書籍売上全体の6%に達している、という。推定数万台の普及台数(上記の追記参照)からすると驚くべき数字だが、ひょっとしてKindleハードウエア売上分も込みか?(いや、そんな数字は意味が無いのでそうではないとは思うが)。さらに、同コラムは、版元が気になるKindle版の卸値としてNYTimesからの引用として次のように書いている。以下、引用。
「New York Timesによると、出版社からAmazon.comへのKindle版の卸し額は印刷版と同じか、印刷版の45~50%程度だという。ハードカバーだけならコスト割れの可能性すらあるのだ。ペーパーバックや絶版の時期の売上げを含めて利益を見込んでいるのだろう。」
アメリカの書籍一般の卸値(日本のような「再販制」はないので複雑そうだ)は良くわからないが、9.99ドルという「Kindle版価格」から推定していたほど安くはない、というところでしょうか。
【追記08/08/04】TechCrunchによれば、Kindleの出荷台数は24万台で、今後、新機種の出荷、学校での採用などが順調に進めば、あと1年で50-75万台を出荷する見通し、とのこと。コンテンツ台も含めてAmazonにとって「10億ドルのビジネスになるのが見え始めた」。(5/20の台数情報はやはり間違いだったようですね)
【追記08/09/27】そうこうするうちにもハードウエア技術の方はどんどん進歩する。Plastic Logic社のこれ(DEMOでのデモ)なんか、冒頭のヘタな芝居は苦笑するだけだけど、デモに入るとユーザーインタフェースもふくめて息をのむ完成度だ。なにしろ「プラスチックにこだわって苦節10年の成果」だそうで、この白黒版はドイツの工場で量産体制に入り、価格は「十分、競争力のあるレンジに抑える」とのこと。中では当然カラー版の研究も進めているんだろうな。
このキーワードはコレクションに選ばれています(1)
- メイン
- コメント(9)
- つながり(4)
- トラックバック(0)
コメント (9)
2007/11/20
島崎丈太 これは私からすると今年最大の注目製品です。 大量生産されて価格が下がれば、紙の書籍を駆逐する第一歩になるかも知れませんね。 日本だと、漫画がこれに乗って呉れたら嬉しいです。
BRAVO30000W! 日本では新聞社か雑誌社の大手あたりが音頭をとらないと売り出しすらしなさそうですよね。面白い製品なんだけどなあ(リンク先はEngadget)
2007/11/21
Fallout さすがEngadget。早くも試用レポートですか。Amazonのレビューを見ても、この種のものとしては「手放しで礼賛」してるのが<意外に多い>(これは私の主観指標/笑)ことで、製品としての魅力が高いと想定されます。「音頭とって動き出すまで3年かかる業界」だったりして>BRAVO30000W!さん。紙の本は、ますます高くなるんでしょうね。紙代とデリバリー代引いても原価はあんまり減らないような気がするんですけど、米国の出版社のKindle版の値付けが、このままで推移するのか、「キャンペーンお試し価格」なのか要注目ってとこでしょうか。>島崎丈太さん
BRAVO30000W! 今度はGizmodoがリブリエとの比較ネタをエントリしてました。なるほどねえ。
Fallout なるほど、これでリブリエ再浮上の可能性も出てきたってわけか(笑)。
2007/11/22
Fallout TechCrunch日本語版の割と詳細なレビュー記事。「今年のクリスマス商戦は期待できない。この1号機は初代のiPodと同様、懐かしさを感じさせるものになるだろう」。おお、これもなるほど。
島崎丈太 Falloutさんご紹介のリンク記事内の「これはAmazonの長期戦略だ。 現物の本を郵送しなくてすむためなら、どんなものでもするし、デジタル販売のマージンはおいしすぎる。 デバイスの話ではない。」というのが興味深いです。 確かに、相当代償を支払ってでも、コンテンツの電子流通を支配出来れば、どれだけ儲かるか、想像もつきません。
2007/11/23
Fallout 確かにそうですね。iPodのようにカラー化すればもっと一目瞭然。一方で、早くも独禁法の影がちらつき始めた感があります。アマゾンのコンテンツ・フォーマットは独自のものなんでしょうか(どうもその様なんですが、素人なんで良く分からない)。いずれ、この辺で「コンテンツ=無料派」の巨頭Googleとぶつかるコースか、などと。お互いに「お前が言うな」合戦になるんでしょうか(苦笑)。
Fallout いち早くカラー化とPDF対応を終えた(伏兵)iPod, iPhoneがKindleを駆逐する(かも)という記事。デジタルチャネルの急拡大は良いとして「叩かれるのはコンテンツ価格だけ」という構図でしょうか(苦笑)。








