ゲンパツハナゼキケンカ タナカミツヒコ
原発はナゼ危険か 田中三彦
わかっているようで、明確に問いただされると答えることができない点を、科学的にかつできるだけわかりやすく解説しようという気持ちがよくわかる本だ。
バブコック日立(http://www.bhk.co.jp/)で原発の原発の心臓部である圧力容器の設計に携わった著者からの、日本の原発に関するさまざまな問題点。このかたの発言がかなりマスコミで取り上げられたことがあるが、監督する官庁が、すぐに安全宣言を出したことが本書につながっているようだ。最近も、原発関連の裁判の原告団証人としても活躍されている。
中性子照射脆化について特に詳細に述べられている。ここを読むと、加圧水型の原発が特に恐ろしいことがわかるが、沸騰水型も安全というわけではなさそうだ。
この中性子照射脆化に対しては、一番後に書いてあるような広報ページのコメントがあるが、稼動中の原発内の試験片の脆化のデータが予想以上のスピードで悪化しているのに対応してか、安全とする基準が、近隣住民にも知らされず、いつのまにか緩和されてしまったことも述べられている。
この本は、原発反対の理論的根拠を得るには必読の一冊だろう。
いくつか印象的なキーワードを取り上げると、
電力会社は、利益優先の現実的判断しか下さない。
製造管理はメーカーまかせ。
監督官庁も責任逃れ。
チェルノブイリの事故が世界に大きな衝撃を与えたにもかかわらず,日本の原発政策には何の変化も見られない.どんな事故を経験したら、日本の原発は止まるのだろうかと考えさせられる。しかしその時では、すでにあらゆる面で手遅れだ。
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e-原子力の広報ページでは以下のような公式見解がでている。
原子力発電所の安全を支えている五重の壁の高齢化対策について教えて下さい。
原子炉で発生する放射性物質は、燃料ペレット、燃料被覆管、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋の五重の壁によって閉じ込められています。これら複数の壁は、設計の段階で劣化等について考慮しますが、さらに運転に入ってからは、法律に基づいて年に一回の定期検査を実施することが義務付けられています。検査の際に、劣化等の徴候が発見された場合や国内外の事故・故障の情報に基づく予防保全(異常が発生する前に対処すること)が必要と判断された場合は、部品を修理したり取り替えて健全な状態に修復することに等により、常に健全な状態に維持管理しています。
また、取替えの困難な原子炉圧力容器については、中性子を受けることによってもろくなる性質があることを考慮して、原子炉圧力容器を製作したものと同じ鋼材から取った多数の試験片を原子力容器内に取り付け、これらを定期的に取り出して中性子による材質の変化についての試験を行って、全運転期間中問題のないことを確認しています。
[所管機関・部署]原子力・安全保安院原子力発電検査課、原子力発電安全審査課http://www.enecho.meti.go.jp/e-ene/...
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著者が最後に指摘しているように、エネルギー依存は、近代西洋文化の大きな問題であり、この閉鎖空間至上主義を脱却して、passive solar,すなわち昔の日本家屋のように環境との境を開放型にするというのは、重要な考え方だろう。大企業組織のダイナミックスにより、批判精神をなくし、組織の目的に向けて自己超越してしまった状態、すなわち金太郎飴状態では、社会全体のことを考えることはできないだろう。(p 192)
- 2011/03/13更新
- 2007/11/30登録
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