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バヤヒデインタビュー

小林秀雄対話集

小林秀雄の批評は本居宣長だとか様々な意匠だとか何だとか、最後まで読めたためしがないが対談はかなり面白い。三島由起夫とか江藤淳のまだかけだしの頃の文学者とか、十分長居した正宗白鳥なんかがざっくばらんに小林秀雄と文学の話をする。
参加メンバーは坂口安吾、正宗白鳥、青山二郎、大岡昇平、永井龍男、河上徹太郎、三島由紀夫、江藤淳、中村光夫、福田恆存、岩田豊雄、田中美知太郎の総勢12人。
中でも同世代の無頼派メガネ、坂口安吾との対談が面白い。昭和23年、小林秀雄は骨董の目利きをやってたころのようだ。

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坂口安吾 僕が小林さんに一番食って掛かりたいのはね、こういうことなんだよ。生活ということ、ジャズだのダンスホールみたいなもの、こういうバカなものとモォツァルトとは、全然違うものだと思うんですよ。小林さんは歴史ということを言うけれども僕は歴史の中には文学はないと思うんだ。文学というものは必ず生活の中にあるものでね、モォツァルトなんていうものはモォツァルトが生活していた時は、果たしてわれわれが感ずるような整然たるものであったかどうか、僕はわからんと思うんですよ。つまりギャアギャアとジャズをやったりダンスをやったりするバカな奴の中に実際は人生があってね、芸術というものは、いつでもそこから出てくるんじゃないかと思うんですよ。
小林秀雄 そうそう。それで?
坂口 僕が小林さんの骨董趣味に対して怒ったのは、それなんだ。
小林 骨董趣味が持てれば楽なんだがね。あれは僕に言わせれば、他人は知らないけどね。女出入りみたいなものなんだよ。美術鑑賞ということを、女出入りみたいに経験できない男は、これは意味ないよ。だけども、そういうふうに徹底的に経験する人は少ないんだよ。実に少ないんだよ。・・狐が憑くようなものさ。狐が憑いている時はね、何も彼もめちゃくちゃになるのさ。経済的にも精神的にも、家庭生活がめちゃくちゃになってしまうんだ。文士づき合いも止めてしまって、骨董屋という一種奇妙な人間達と行き来してヘンな生活が始まるんだよ。それだけでも、結構地獄だね。それに、あの世界は要するに鑑賞の世界でしょう?美を創り出す世界じゃないですよ。どうしてもその事を意識せざるを得ない。この意識は実に苦痛なものだ。これも地獄だ。それが厭なら美学の先生になりゃァいいんだ。
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文芸批評は紙のプロレスであってほしい。小林秀雄の対談には当時のいろいろな肉声がつまっている。が、小林秀雄の書いたものからはごっそりそれがぬおちている、と対談の中で青山二郎も言っている。

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青山二郎 さっき来る時歩きながら考えたのだが、小林が画のことをぼつぼつ書いているだろう、それを僕はいって見たいんだよ。あれは僕がついて歩いて一緒に見ていたら、小林の見方というものもきっとモットつかまえられるし、普段座談になるときっとそういうものが出てきているんだ、だけど小林の文章の中にそれが出て来ないのだよ、雪舟でも、ゴッホでも・・・。
小林秀雄 そうかな、座談とは別だからな。
青山 小林の文章だと何か終いには画はいらないというふうになっちゃうんだよ。画家のことが主要な問題になっちゃう。だけどクローデルだとかリルケは、画が見えてくるように書けているね。その見えて来るというところが、普段の小林の座談になるときっと生々と出てくる。書くときそういうものをみな端折っているね。
小林 それはやはり俺が至らないところかな。
青山 だけどあれを読む人は、やはり小林が見たいという生々しい眼の感じがほしいのじゃないかね。見た目の感じを特に言わなくたってさ。たとえばクローデルとかリルケには、それらはちっとも言ってないけれども、そういうものが溢れているよ。何か自ずから作品を本位にして他を語っているようなものが根本にあるんだよ。小林は画家を本位にして画を忘れているだろう?
小林 そういう癖はあるだろうな。
青山 だけど座談になるとちゃんとそれは喋っているんだよ、いつだって・・・どうしてそれがぽっと取れちゃうのかなあ。
 だから悪くすると、お茶を習うから馬鹿なお茶碗が見えてくるというふうに、あの文章を読むから絵が見えてくるというやつが出てくるよ。
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ところで昭和23年て戦後まもなくんじゃねえのか。戦争の話って出て来てたかなどっかで。
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小林秀雄対話集

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