いのちの食べかた
食の生産現場の凄惨な現実を描き出したドキュメンタリー映画。
(駄洒落を言ってる場合じゃないけどね)
淡々と食肉加工場・養鶏場・レタス畑・パプリカ畑・オリーブ畑・トラウト加工場・岩塩採掘場など食の生産現場の映像が流される。
それらはもうすでに第一次産業ではなく第二次産業である。それゆえか、生産者?たちは生き物をまるで物を扱うように無表情に扱っていく。みんな死んだ魚の目である。
もっとも製品に思い入れなど持った日には、仕事を辞めるか、じわじわと精神の平衡を失うしかないだろう。
これらのさまざまなシーンはあえて細切れにランダムに再構成したことで時間軸・空間軸をシャッフルしている。しかしこの再構成は充分に示唆的である。このことがこのナレーションレスかつBGMレスかつダイアログレスな映画を単調な記録映像に陥らせなかった演出であろう。
同行した友人は「私たち人間は、なんて残酷な人間なのでしょう・・・」と振り返っていたが、そうではない。
エンドロールに「以下の個人・団体の協力により2003年10月から2005年10月にかけてヨーロッパで撮影された」と延々と撮影協力者が表示されていたが、キリスト教文化圏だからこそであろう。
しかし日本ではあのような凄惨な生産現場をあけっぴろげに公開する団体は少ないと思う。ひとつには差別問題をはらみかねないこともあるのだが、あの凄惨さがゆえに消費者の反響や反発を恐れるであろうからだ。
キリスト教の文化では原罪意識が濃厚であろう。「いのち」をいただいているから「いただきます」であるということが宗教的に意識に刷り込まれている。だからあんな映像ごときに動じない。しかし現代の日本人にはそれがない、もしくは希薄である。
(原題の「BREAD」もそのことを示唆しているのではなかろうか。キリスト教におけるパンとはキリストの肉を暗示することがあるが、さまざまな「いのち」をパンとしたことでこのドキュメンタリーがキリスト教的地平に立脚しているとも読める。)
先の大戦と高度経済成長が日本の食を蝕んだ。GHQの占領政策(学校給食など)もそれに拍車をかけた。食料自給率は40%を割り込んでいる(もっともこれも数字のマジックなのかもしれないが)。おそらく今の子どもに「いただきます」の本来の意味なんて分かりっこない。
(自分も含めて)そんな連中にこの映画は十分に刺激的過ぎるのだ。
※っていうかまだ自分の中で消化し切れていません。なんかまとまりの悪い文章です。
でも忘れないうちに下書きしとこうという感じですか。
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2007/12/03
悠@悠悠自的。 石川雅之のマンガ「もやしもん」5巻に、学祭で鶏をその場で締めて唐揚げを出す屋台の人が、「からあげは命を頂くのよー、親も子供もよく見ててねー!」って鶏をかっさばくシーンがあるんですが、こういうのがショーゲキ的なギャグとして流通するのが日本なのかなー、と、思います(著者的にはギャグっぽく描きながらも、マジメに命を頂くコトを描いているんですが、実は) /// キリスト教の“主の祈り”の一節「わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。」は、英訳だと「Give us today our daily bread.」ですね。
トーキョー物産展マニア あららら、そういうところが原題の由来なのですね。
実は私幼稚園はミッション系だったのですが、その後は宗教と縁遠い生活だったものですから・・・。
勉強になりました。ありがとうございました。同行者にも教えておきます。
もやしもんってたしか東京農業大学が舞台の映画でしたよね。読んでみます。
2007/12/04
こぶたサーカス はじめまして。小さい頃市場で店をやっていた我が家の向かいは鶏肉屋で、
毎朝そこで鶏をしめていました。朝は騒々しいほどの鳴き声が、昼前にはシ~ン。それ用の機械などが無造作においてあった情景を思い出します。
鶏を絞めることあたりは、コドモも大人もみたほうがいいんじゃないかと思います。
個人的には、絞めて食べられる人になれたらいいなぁと思います。
から揚げ、美味しいですもん。
トーキョー物産展マニア そうなんですよね。人間も動物である以上食物連鎖の中に組み込まれてるんですよ。食われることはまずないですが。でも、いのちを食べないと生きていけないのです。そのかわり感謝の念をもって「いただきます」するしかないのだな、と思いました。そのためにも、ブラックボックス化された食の生産現場をもっと現代人は見るべきだと感じました。
そうすることがいただく「いのち」に対して思いをはせると同時に、自分の「食べる」という行為を大事にすることになるはずです。何が安全・安心なのか?という食の基本かついま最も不安な部分を知ることができるのではないでしょうか。
でも正直言ってまだ混乱してます。
2007/12/05
こぶたサーカス 私もこの映画、実は興味あったんですが、一度に受けるにはあまりに情報量が濃厚すぎるような気がして、二の足踏んでしまいました。その辺り勝手な言い分なのですが。
でも魚でもなんでも、「自分がこのいきもんの命を取ってるんや・・」と実感することは、ものすごく大事なことだとおもいます。そのおかげで菜食主義になろうがならなかろうが、それは人それぞれですし。
最近食べ物の値段が上がった上がった言ってますが、今までが安すぎたんだと思う今日この頃です。
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