ナイブヒバクノキョウイ
内部被曝の脅威- 原爆から劣化ウラン弾まで 肥田舜太郎、鎌仲ひとみ
ちくま新書。
原爆被災者の医師で60年間この道で頑張っている肥田さんと六ヶ所村グラフィティでも有名な鎌仲さんの共著。最後の対談のところが特にいい。
最初に”全人類が被爆者になる”という項目なので驚いたが、最後まで読むとその意味がよくわかった。原爆の実験や製造過程、原発の燃料棒作製においてまき散らされたウラニウムをはじめとした放射性同位元素、核廃棄物は、米国西海岸ワシントン州のハンフォード周辺の穀倉地帯にまでひろがり、リンゴ、ジャガイモ(有名ファーストフードチェーン経由で世界中に輸出)、コーンなどを汚染し、さらにコロンビア川から太平洋に流れ出し、鮭などの魚類まで広がっていく。これは、いままであまり認識されていなかった放射性物質が体内にとりこまれる結果生じる「放射線による内部被曝」によるものだ。
広島、長崎の原爆の後の米国の姿勢も、少しは聞いたことがあったが、ここまで明確に記載されている本は少ない。投下後、3、4週間で死ぬべきものはすべて死んで、その後の白血病、甲状腺疾患、ぶらぶら病症候群などは関係ないというABCCによる宣伝、さらにこういった研究の弾圧は、核による戦争抑止理論を正当化するためだったということがよくわかる。
また、原発周辺地域(100mile以内)での乳がんの増加についてもさまざまなデータがだされている。日本で、同様の検討をしようとすると、福島から100mile(160km)以内に関東地方のかなりの範囲が入ってしまうというのも、びっくりだ。
最後の劣化ウラン弾については、最近の問題であり、まだ明確化していない部分も多いが、関連性については間違いないだろう。
少量の放射線は、むしろ体にいいという説が、ほぼ否定されていることも本書で明らかにされている。
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今度の津波、地震による事故の影響も、こういった視点から長期的に、広範囲で慎重に観察する必要がある。さもないと、曖昧なまま闇に葬られてしまうだろう。
- 2011/07/08更新
- 2007/12/11登録
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