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統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (トウケイスウジヲウタガウ ナゼジッカントズレルノカ)

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 マスコミを通じて(マスコミ自体が作って)流布される「調査」を読むときに心がけておかなければならない考え方を示してくれる。

 冒頭で、警視庁の交通事故死亡者の数字が減っていることについて疑問を投げかけていた。警視庁の統計は事故後24時間になくなった人だけを交通事故による死亡にカウントしないせいだとしている。確かにこのカウントのしかたには問題があると思う。実際の印象とちがうし、交通事故に対する誤った理解を導く可能性がある。

 しかし、同じ基準でまとめた統計であれば、数字の変化については十分意味がある。同じ基準でカウントした数字が減っていれば、死亡事故が減っているといえるだろう。

 この本では、救急医療の進歩で24時間生き延びる可能性が増えたせいで減ったという指摘をしているがその根拠は示されていない。厚生労働省の統計による交通事故死者の数と比較して少ないとしか書いていない。厚生労働省の統計が横ばいなのに、警視庁の統計だけが減っているというのなら、警視庁の統計に問題があるといえるだろうが。(まあ、その場合は警察庁の統計と同時に、生存率を上げることに貢献できてない救急医療に対する見直しも必要かもしれないが。)

 もう一つ、割れ窓理論への批判はお粗末だと思う。確かに、ニューヨークの犯罪発生率低下とニューヨーク市警の犯罪発生防止策の効果との相関より景気の影響が大きいかもしれいが、批判を裏付ける十分な情報はない。にもかかわらず、他の可能性があるから、その理論は誤りだとするのでは、只の揚げ足取りだ。

 ニューヨークの犯罪件数が減ったのは、景気回復による就業機会の増大(本当にニューヨークの犯罪多発地帯に就業機会増大の恩恵が波及したかどうかは調べる必要があるが)とニューヨーク市警の犯罪防止キャンペーンの相乗効果ではないか。割れ窓理論の効果がどの程度貢献したかは分らないが、警官がしょっちゅうパトロールするようになるだけでも犯罪防止効果は有るだろうから。もちろん、この予想も確証はない。つまり、ここで示さた資料からは割れ窓理論が正しいとも正しくないとも言えないというのが正解だろう。

「経済効果を疑う」という章で、イベントがあるたびにマスコミに載る「経済効果」が作られる(捏造といってもいい)背景が書かれていて面白い。特に調査会社が無責任な、扇情的な「結論」に走る理由が内側から解説されていて説得力がある。内容は門外漢が予想していた通りだったが。残念なのは実例が全て伏せ字になっていること。筆者が業界の人間だったので遠慮があるのかしれないが、これでは面白さ半減だ。

 政府や企業が調査を行いその結果を公表するときには、裏に何がしかの意図がある。調査は常にシナリオに沿って進められ、結論は最初から出ているケースも珍しくない。こういった、本末転倒な「調査」にだまされないために読んでおきたい。

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panhead
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コメント (3)

2007/12/10

CLASH 90年代にニューヨークの犯罪件数が劇的に減ったのは、市警の犯罪発生防止策の効果があがったためでも景気回復のおかげでもなく、1973年に連邦最高裁判決で中絶が合法化されたためだ というのが、僕が今まで見聞きした中で最も説得力のある科学的な説明です。

panhead なるほど。説得力ありますね。でも、公式には認めたくないでしょうね・・・

2007/12/12

CLASH ニューヨークの犯罪件数激減の話はこの本の序章に出ていて、市警の取り組み云々まで言及した上で上記が真の理由だと。この本は他にも、大相撲の10年間3万回の取り組み結果を解析して八百長の存在を統計的に証明したりと、なかなか面白いです(笑)  ちなみに交通事故死者数の減少ですが、シートベルト義務付けや、エアバッグ・軽の寸法拡大に代表される車両の衝突安全対策の向上が相当効果を上げていると思います。 これは、交通事故時の車両乗員の死亡者数の減少に統計的に現れてるはずです。もしこの本に原因が救急医療どうこうしか書いてないならかなりお粗末かと。

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