もりのみ
銛鑿
三年ほど前に火事を貰った工房の焼け跡から拾い出した道具類の中で、銛鑿というものがあります。形が本当に銛の形をしていて、蟻継ぎのほぞ穴のスミの部分などを、きちんと仕上げるときに使う道具で、普通の鑿と違って、その形状から全鋼、すなわち地金と鋼を会わせていなくすべて鋼で出来ています。
先日、南京鉋を作っていて、刃を仕込む穴を掘りながら、あいつを使ったらと思い立ち、さっそく引っ張り出して錆と黒皮を鑢ではがし、薪ストーブの熾き状になったスミを山にして、水道管をさしこみ口で吹いてどのぐらい温度が上がるものかとその銛鑿を差し込んでみました。ゆっくり前後に炭の中で動かし、頃合いを見計らって、鉄の色を見てみました。もう一寸、そんなことを繰り返し、そもそもものが小さいので、こんないい加減な装置でも何とかうすいオレンジ色までいったときに、用意した水の中でジュ!冷却です。どんなもんだろうと鑢をかけてみると、みごとシャリと滑って鑢が掛かりません。焼き入れ成功です。
その後、台所のオーブンを200℃に設定、小一時間ほど焼き戻しをして、研ぎ上げ、丁度良いサイズの口金を探して錆落とし、白樫で柄を削って、仕込みました。
よくきれる、ひとしお愛着がまたでちゃった道具が帰ってきて、そんなときが私の幸福な一瞬です。
- 2002/07/01更新
- 2002/07/01登録
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