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活版印刷

「凸版式印刷の一種で,活字で組んだ版(活版)を用いるものをいう。それ以前の印刷版が木版のように1枚の板につくられたものであって,文字の抜き差しがむずかしかったのに対して,文字の組替えが自在にできるところから〈生きた版〉という意味で活版と名づけられた。J. グーテンベルクの発明以来,文字印刷の主流として,また印刷の主流として利用されてきたが,鉛合金の活字を使用するため工場衛生上に問題があること,版が重く印刷機の構造もがんじょうでなければならず,取扱いも不便,スピードも出ない(とくに組版においては,和文の活字の場合コンピューターと結びつけて自動化しても毎分120本くらいを組むのが限度である)こと,そしてこの分野における若年労働者の不足もあって,写真植字法の進歩とともにその地位を譲りつつある。将来は,ごく上等の書籍のほか名刺,便箋,挨拶状などが,その特徴を発揮する分野となろう。」(世界大百科)

雪崩を起こしそうな本と格闘中に谷川俊太郎の「コカコーラ・レッスン」が出土したので,ぱらぱらと読んでみた。文字が美しいなぁ,と思ってよく見ると,最近見かけなくなりつつある活版印刷だった。

みすず書房ですら活版を使わなくなってきた昨今,活版印刷は,詩集や美術書に限られていくのか。最近,詩も読まなくなったので,このごろの詩集が活版で刷られているかどうかも知らないのだが(ヒマができたら三月書房に行ってみよう)。

昭和初期の本などを見ると,活字がやや傾いていたりする。活版印刷の技術が最高点に達したころの書物であろう「コカコーラ・レッスン」では,ひたすら文字がうつくしい。このわずかな立体性と,インクのしみこみぐあいが,何より目にやさしく読みやすい。

「文字の組替えが自在にできる」という意味では,現在のDTPはもっと「生きた版」だ。技術が発展する方向は変わっていない。いずれ,書物の形をした「生きた本」が生まれるだろう。

活版印刷

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佐藤小太郎

コメント (7)

最新コメント5件

2002/07/02

佐藤小太郎 「コカコーラ・レッスン」,読み直すとなかなか良いですね。散文と韻文(というよりは歌か)の両極端を行き来する,ことばの自在な動きを感じます。肩凝りがほぐれます。

拾得 はい、親が海外に赴任するときに作っていて原版込みで刷り上がった名刺を拝んだ記憶があります。(オーバー)

miles いいですね~、活版。書体もいいんですよ。

スミタニ チヒロ 活版で組まれた本は読みやすいですよね。

2003/08/19

amashco オフセットなどの版下にするための活版の清刷りは、いい紙にびしっと刷るので、活字のマージナルが極上にやわらかく、美しい!

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