カクネンマネー
核燃マネー 青森からの報告 朝日新聞青森総局(岩波書店)
青森県は、むつ小川原の開発以来、中央に翻弄されつづけ、いまは核燃サイクルのおもちゃにされている感がある。また、大規模プロジェクトを抱える地方の自治体の象徴のような存在でもある。その実態が詳細に記載されている。
青森県で経済発展の鍵として核燃サイクル事業が動き出して20年。合計1000億円を超える各種交付金等が県内に流れ込み、核燃施設への建設投資は2兆円を超える。しかし、日本の海外援助と同じで日本あるいは中央のゼネコンや専門的な分野の業者が請け負うのが大半で地元の経済振興には20%以下しかつながっていない。
終章にあるように、電源三法交付金がどのように使われているかを、電気料金として負担している国民の多くは全く知らない。日本では、環境やエネルギーの問題を国民全体で議論する機会がなかった。むしろ、金で解決するというやり方でエネルギー問題に対し目隠しをしてきた、あるいは口封じをしてきた。交付金の使い方についても、疑問の残るものも多く、地元に核燃マネーへの依存体質を植え付けただけだ。また、電力自由化および電力消費増加が見込めないため電力会社も以前のような財政状態ではない。
青森県も、最終処分地になることは抵抗感があるので、六ヶ所村の再処理がうまく動かない場合には、合意を得るのは大変だろう。その際には最終処分地にされてしまうことが危惧される。また、動いたとしても、18兆円を越えるとされる後処理コストをだれが負担するかも決まっていない。また、取り出したプルトニウムを国際管理する可能性もある。前首相をはじめ一部の右よりの政治家が時々口にする日本の核武装を念頭においたプルトニウム取り出しはその場合は不可能となる。またその際は、いままでのような国内法による巨額の交付金は期待できないだろう。
このように、さまざまな問題点や課題があり、いままでのように、”住民に説明しても理解できないので、札ビラで解決”というような傲慢な姿勢では、国民的合意を得ることは不可能だろう。また、十分に議論といっても説得されるような風潮でもない。
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