カコノナイオトコ
過去のない男
フィンランドの林、フィンランドの湖、鉄道、車、コンテナの錆!
それだけでもうなんだか素敵。
ちょこっと映る洗濯物とか、おうちのドアとか、子供の服とかもフィンランド色。
ジュークボックスも可愛くてかっこいい。
しかし、カウリスマキの映画に出てくる人々は冴えないな。
『浮雲』もそうだったけれど、主人公も、主人公が恋をする女性も、むっつりしていて全然華がない。セリフもあまりない。
なのに見ているうちにそこはかと彼らへの愛情がわいてくるから不思議だ。
主人公は冒頭で暴漢に襲われ記憶をなくすのだけれど、そのことが特に大変なできごとだと感じる風もなく、なんとなく新しい土地、ひとびとのなかに馴染んでゆく。
…といってもちっとも愛想もよくないから(というか、登場人物の誰ひとりとして愛想のよいひとなどいない。子供すら)馴染んでいるというか、ま、そこにいてもいいんじゃない、みたいな感じ。
フィンランドのひとの人柄なのかな、それともカウリスマキの独特な人間観だろうか、なんだかどこか抜けてて、人がよくて、可愛らしい。
嫌な警察官が出てくるんだけどそのひとすら虚勢をはる様子が間が抜けていて憎めない。
北欧は失業者が多いのだろうか?
『浮雲』にも職を探してさまよう姿があった。
でも失業者への対応もすごく親切なんだなあと思う。(映画だけかな。フィンランドのこと好きなのに何もしらない)
仕事を見つけるためにはまず見た目から…と服を出世払いで提供するなんて、日本ではないことだし、根本からの解決を図るための手段だし…やっぱり失業率で悩んできた国なんだろうな。
それとも、フィンランドって共産国…?
ほんとうにしらないや。
なさけなや。
あるひとにお世話になったときの
「借りができたな。なにをすればいい?」
「俺が倒れていたら、あおむけに」
というセリフがとっても好きで、カウリスマキの映画をぎゅっと凝縮してるみたいに思えた。
登場人物のなかのひとりのおじさんがスウェーデンの友達(女の人)に似てて、笑っちゃった。
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