ぼくのうちに波がきた
…シュール。
…と思ったらこれ、メキシコの詩人オクタビオ・パスの短編「波と暮らして」をアメリカの児童文学作家キャサリン・コーワンと画家のマーク・ブエナーが絵本にアレンジした作品なんだそうで。原案がラテンアメリカ作家であるのを知ってなるほどな、と思った。ラテンアメリカの想像力はこんなふうにちょっと独特です。突拍子もないのに力強くて克明で、情熱的にロマンチック。思うに前者はそもそもあの場所に宿っている血や文化、自然から来るもので、後者はラテン系白人に由来するんじゃないかしら。その混ざり具合と昇華度合いが素晴らしい。地球の裏側だけあって、日本のコンテクストにないものをいつも見せてくれます。
絵本の内容は「波が来た」という出発点以外は意外にオーソドックスで、誰が読んでも楽しめるものになっていると思います。大人が読むには少し物足りないかもなあ。特に終盤があっさり味で。たぶん原文はもっと文章が詩的で美しかったんだと思う。その点訳者はもうちょっと頑張れた気がしないでもない。でも代わりと言ってはなんですが、挿絵は素晴らしい。ややアメリカンでバタ臭いタッチではありますが、全体を通してビビッドで躍動的。話の想像力に負けないどころか、むしろお話をぐいぐい引っぱって行く力強さに溢れています。
原案となったパスの短編は散文集「鷲か太陽か?」で読めるようです。絵本のあとがきを読んだところ、こちらはちょっと大人向けな感じの結末になっているらしく、そっちも読んでみようかなあ…。原文の表現も気になるし。
- 2008/01/20登録
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