弟オレステスの放浪と帰還
やっぱりすごいカラダ。
なんであんなにしなやかな軌跡を描けるのだろう…。静と動。動なのに無だったり。静なのに爆発してるみたいだったり。刀みたい。
この人は生まれたばかりで研かれる途中の日本刀みたいだ。
オレステスはギリシャ神話のエレクトラの弟。
父を謀殺した母を殺し、国を追われ、神に助けられる話。
裏切られた苦しみと手を血に染めたことで狂うオレステスを森山開次さんが演じた。
トルコのギターや笛、それに合わせて微妙に外した調律をしたピアノ。
歌手も平均律に則らない微妙な音程を出す。
こういうイスラム風の音が大好きだから音もすごく楽しんだ。
この音の重なりはすごく微妙なところまで考えられてるのだろうか?それともプロの集まりだから即興や個性からだんだんミルフィーユみたいに重なってゆくの?どんな作業であの不思議な和音が生まれるんだろう。
オーケストラのスコアを書く人って本当に計り知れないくらいに天才だと思っているけれど、今日のような微妙な重なりをつくることも想像を絶する。
オペラ風の歌もこんな風に生で聴いたのは久しぶりだったからその響きに驚いた。こんなに溶けるものなんだ。こんなにまっすぐ突き刺さるものなんだ。
語りもよかった。あの女形の方。朗読の仕方、声の出し方…すごいなぁ。芝居を真面目に勉強してみたかった。ダンサーとはまた違う存在感。動きと作り出す風が軽やかに涼やかに美しい。
開次さんの柔らかな手の表情が好きだ。
形…やっぱり骨の形が美しいこともあるんだけど、包むような宿るようなてのひらの中。彫りぬかれてほっ、と残ったみたいに時に頼りなく優しく。
足先が今回あまり見えなかったけれど足も好きなんだ。
先端の綺麗な人。
背中の梁みたいな筋肉も好き。
たまに…それは意識なんだろうけどすごく動きが「和」っぽい。ぎこちない動きがたまにある。音楽に反発してるみたいな。もしかしたら私と音の感じ方が違うのかもしれないな。
はっとする瞬間、その不安を打ち消すように弧を描く。
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