映画「秋刀魚の味」
監督:小津安二郎
1962年公開
小津安二郎の作品を見るのは、これがはじめて。
各シーンがじっくり時間をかけて写されていて、主人公の抑揚がないしゃべり方と合わせて、はじめのうちは正直に言うと退屈に思いました。
でも、主人公を中心に、人間関係の「味」が分かってくると、面白くなってきて、その頃には退屈は気にならなくなりました。
映画の中では、主人公の「現在」だけを描いているだけのはずなのに、「過去」「未来」の姿まで、ありありと見えるようなドラマの仕立てに感嘆しました。
ごく平凡な日々を、淡々と流しているように見えながら、よく見れば写っていないところに、いろいろなことが隠れていることが見つかり、だんだん見えてくるような気がしてくる。
なぜ見えるのか、すごく不思議でした。
また昭和30年代当時の社会背景、家庭生活の時代性が、この映画の中だけで、多く見つけられるようにできていて、ドラマと同時にドキュメンタリーを見ているような気がしました。
タイトルにある「秋刀魚」は、結局さいごまで出てこないのですが、この「秋刀魚」の「味」に、どんな意味や意図が重なっているのか、見る側に考えさせようとしているのかなと思いました。
わたしは、娘を嫁がせたとたんに、いつも淡々としていて感情を見せない主人公が、酔い潰れて感情を見せたラストのシーンに「秋刀魚の味」を見た気がしました。
はじめは、たしか退屈だと思っていたのに、終わってみれば、つい、もう一度見たいと思っている。
不思議ですね。
- 2008/01/21登録
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