Cathedral / The Ethereal Mirror
93年作品。90年代にドゥーム・メタルを再興させ、エクストリーム・ミュージック/へヴィー・メタル界を震撼させたカテドラルの傑作セカンドアルバム。邦題『デカダンス』としても知られるこの作品の持つ独特のへヴィーリフは、単なる70年代ドゥーム・メタルの焼き回しではなく「新世代のへヴィー・メタルの幕開け」とまで評されるほど衝撃的なミュージックを吐き出した。だが、彼らの音楽に似たサウンドを奏でることは極めて困難で、継承するバンドたちはほとんどメインストリームに顔を表すことはなく、彼らのみがオーバーグラウンドで独立した存在として、ヨーロッパ/アメリカで地位を得ることになる。
カテドラルは、元祖グラインド・コア/デス・メタル・バンドであるナパーム・デスを脱退したリー・ドリアンとマーク・グリフィスが中心になって結成された。彼らは、徹底的なスピードを重視したナパーム・デスとは全く違う、とてつもなくスローなへヴィーさを打ち出し、ブラック・サバスなど70年代にあったドゥーム・メタルの継承を掲げた。このアプローチを当時イギリスで行っているバンドは存在せず「カテドラルのアイデアはナパーム・デス時代からあった」と語るリーは完全に思いが固まった時点で、同バンドを脱退し、このバンドをスタートさせたわけだ。こうして生まれた1st『Forest Of Equilibrium(邦題:この森の静寂の中で)』は低く重く遅い、メタル・バンド「カテドラル」をこれでもかというくらいにやりきった。スピード重視のメタルをあざ笑うかのように、彼らは自分達の信じるへヴィーサウンドを標榜し、コアな音楽マニアを唸らせるには充分のアルバムを創り上げた。
だが、驚くべきはこのセカンド・アルバムの完成度だ。オリジナルメンバーのマーク・グリフィスが脱退し、ギャリーがベースをプレイしたこともあるのかもしれないが、正直同じバンドがやったとは思えないほどサウンドはクリアになった。ギターは泣きのメタル進行をし、ドラムはスピードの緩急を憶え多彩になり、リーのヴォーカルも単なるスクリームではなく、きちんとソングごとに歌いあげ、その存在感からカリスマ視されるほどに成長していた。音進行は曲によってはプログレと見紛うほどに複雑に、そしてシンプルなメタルソングとしても名曲の呼び声の高い”Midnight Mountain ”(#04)も生まれた。前作はマニア泣かせで止まっていたが、今作は広く一般的にも彼らの名が知れ渡る結果をもたらしたのだ。
この後、彼らはサード『カーニヴァル・ビザール』でバンド体制を確立。自分達の姿勢を崩すことなく、今も精力的に活動を繰り返している。彼らははじめこそ、メタルの異端児として迎えられたが、今となってはメタル界になくてはならない存在となっている。これは、非常に嬉しいことだ。流行にのっかり、宣伝を繰り返したからといって一時的に購入するものはいても、そんな人はすぐに離れてしまう。中古CD屋にいって、100円でも誰も手のつけないアルバムが一体何枚あるだろう?だが、カテドラルを支持したのは他でもないリスナーだ。だからこそ、彼らは残ることが出来る。そして彼らは好き勝手に自分達の音楽を追及できるのだ。
音楽に対する姿勢は人にきちんと伝わるものだ。真剣勝負をしていれば、必ず雰囲気は届くと僕は本気で思っている。
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