ジネット・ヌブー
Ginette Neveu
Neveuは1919年8月11日フランスに生まれた。彼女はヴァイオリニスト、作曲家として活躍していたGeorges Enescoに教えを受け1930年11歳でパリ音楽院に入学、8ヶ月後ヴァイオリン課の主席となる。その後、19世紀末から20世紀はじめにかけヴァイオリン演奏の指導者として名をはせたCarl Fleschに師事。Fleschは彼女にこう言ったという(濱田滋郎記の[30CD-3026]添付のライナーノートより)。
「あなたは天の恵みを授かって生まれてきたんだ。私がどうこうすることは何もないよ。私にできるのは、いくつかのちょっとした技術上のアドヴァイスくらいだ…」
その後Neveuは1935年ヴィエニアフスキ・コンクールで当時27歳のDavid Oistrakhをおさえて第1位になり一躍国際的な名声を得る。その後ベルリン、アムステルダム、モスクワそしてアメリカで演奏会を開き、またEMIへの録音活動も開始した彼女の演奏家としての活動はとん挫する。彼女が20歳になったとき勃発した第2次世界大戦のために。戦中、彼女はフランスにとどまりながら戦争の終わりを待っていた。
第2次世界大戦が終わったとき彼女はまだ26歳だった。彼女は録音と国際的な演奏活動を再開、Sibelius、Brahmsのヴァイオリン協奏曲などを録音する。彼女が1947年11月NYフィルとの演奏会に臨んだとき、辛口で知られた批評家ヴァージル・トムスンは彼女を次のように評したという(三浦淳史『レコードを聴くひととき ぱあと1』(東京創元社、1979年)213ページ)。
「あらゆる見地から見て、若いヨーロッパのアーティストのなかの最高のアーティスト……われわれは終戦後すでに多くの若い才能に接してきたが、どこに置いても、ミス・ヌブーはグレート・アーティストである」
それから2年後の1949年10月20日、アメリカへの演奏旅行を前にNeveuはパリでリサイタルを開く。そのリサイタルのポスターには「お別れ演奏会」の文字が読まれたという(濱田滋郎、前掲)。
同年10月28日アメリカに向かう彼女を乗せたエール・フランス機はアゾレス群島のサン・ミゲル島に墜落。生存者は一人もいなかった。彼女は愛用のStradivariusを自分の座席にくくりつけ、手帳にこう書き残していたという(Jeremy Siepmann記の[CDH 7 63493 2]添付のライナーノートより:訳には自信なし…)。
「職業のなかでの孤独なしにはいかなる偉業も達成できない。真の偉大さとはおそらくとても明るく輝いた孤独(radiant solitude)というものかもしれない。…死を恐れるあまり、ときに人は臆病になる。しかし、死とはなにか崇高なもの、私自身の人生と思想にふさわしいものに違いない。」
…彼女が残した録音は数えるほどだ。正規のスタジオ録音はBrahmsとSibeliusのヴァイオリン協奏曲、Chaussonの詩曲、Ravelのツィガーヌ、KreislerやSuk等の小品のみであり、そのほかは放送局等の音源によるBeethovenやBrahmsの協奏曲が残るのみである。なかでもHans Schmidt-Isserstedt指揮の北ドイツ放送交響楽団とのBrahmsのヴァイオリン協奏曲のライブでの彼女の演奏は高度でかつ安定した演奏技術とその情熱満ち溢れた音楽によって今日にあっても名盤との誉れが高い。
- 人名: Ginette Neveu
- 地域: France
- 年(代): 1919.8.11-1949.4.28
- 2002/07/10更新
- 2002/07/09登録
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コメント (2)
2003/01/18
TakeO 飛行機事故直前のインタビューの件初めて知りました。Neveuはライブ録音すらも多くないのでそういうインタビューはアルバムに収められそうなものですが、それを収めたCDは見つかりませんでした…どういうことしゃべっていたのでしょうかねぇ?
2003/01/19
TakeO ご指摘のCDはこれ(http://www.tahra.com/neveu1.htm)みたいですね。なんとなくTAHRAのCDは入手してこなかったのですがこれはウィッシュリストにいれておきます。ヨルボン様、情報ありがとうございます
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