Victor HP-FX500
ビクターのカナル型イヤホン。樺の木の振動板とハウジングを使った意欲作。
使用イメージは、通勤の友。
試聴もしないで買った。
試聴をしない理由は、この製品のレビューを読んでいたことが一つ。
もう一つは、カナル型の場合、短時間の試聴では、そのイヤホンが持っている本来の音に巡り会えず、誤解してしまう可能性があるからだ。
結果として、いろんなことを学んだ。試聴をしなかったのは幸いだった。
まずは、付属していたMサイズのエラスティックタイプを耳に挿入。
音は大きい。パワフルである。だが、第一印象は、「ん????」
音の輪郭がぼやけている、特に低音はぼわんぼわんして、中高域とのバランスが崩れている。
ボーカルが美しく、本来のポテンシャルに少し期待は持てそう。だが、全体として、安っぽさは否めない。
この音なら、3000円も出す気になれない。
続いて低反発タイプを試す。だが、すかすかで、大きさが合わないことがすぐに判明。
もう少し、密閉度を上げてみようと思い、エラスティックタイプのLサイズに代えてみる。
だが、Mサイズよりは少しまし、と言った程度。とても満足できない。ちょっと萎える。
低反発タイプの、サイズの大きいものはないかと思い、売り場を物色。
そこで気づいたのは、国産で低反発タイプを出しているのはビクターのみ。
しかも、サイズは12mm径一種類。ビクター製の大きな径の低反発フォームチップが待ち望まれる。
仕方なく、エラスティックタイプでちょっと形の違う、オーディオテクニカのFinefit Lサイズを買う。
少し、音は改善されたようにも思うが、それまで愛用していた、JBLのReference220のほうがずっとましだ。
Etymotic ResearchのER-4Sの「別格の音」が、鼻で笑いそうな情けない状態。
再度家電売り場を訪ね、Victor以外の14mm径くらいの低反発タイプのイヤーチップはないかと聞いてみた。
いろいろ考えてくれた結果、Ultimate Earsなら、サイズが合うかも、ということになった。しかしあいにく売り切れ。
日を改めて秋葉原にゆき、Ultimate Earsの低反発タイプのフォームチップの在庫を聞いたら、やはり売り切れ。
他にないか、と聞いてみたら、Shureがどうか、という。Mがどうやら14mm径くらい、Lはそれより大きい。
ただし、フォームチップだからどうかわからない。どうしようか、と迷っていたら、試してみますか?とのお申し出。
Shureのフォームチップの内径は細く、挿しにくい派遣できていた方が、助けてくれた。
総じて、ヨドバシカメラの店員さんは親切だ。
とりあえず、Mを買う。これにより、音の印象はだいぶ変わる。まず、パワフルさがまるでなくなった。
その代わり、解像度は良くなり、綺麗な音がバランス良く出るようになった。
「鼓童」のいくつかの曲を聴いてみると、太鼓の演奏が、きちんと聞こえる。
ただ、全体にからからと乾いた感じ。低音も、迫力に乏しい。
もともと、僕は低音に迫力を求める方でないが、物足りなさは否めない。
その時、はたと思い出したのが、JBLのReferenceについていたフォームタイプのチップ。
試してみると、Shureよりも少しだけ、増したような感じだ。全体のバランスも、悪くなく、音は綺麗だ。
だが、一つしかない、そのチップは何年か前のもので、ごわごわ。
耳にしばらく挿していると、痛くなってきた。
Ultimate Earsは試していなかったが、なんとなくこれがこのイヤホンの限界かなあ、と思い始めた。
週明けに電気店に出かけたら、Ultimate Earsのフォームタイプが入荷していた。
ヨドバシカメラの秋葉原店でShureを試すことができたので、試せるかと期待したが、ダメだった。
挿さるかどうか、内径が気になる。外径も小さすぎないか、気になって、JBLのものと較べてみた。
なんと言ってもこのチップ、20個入りとはいえ、3000円もする代物だ。
熱心に調べようと袋の上からサイズ比べなどしていたら、「お客様、それは商品でございますから」とたしなめられた。
ヨドバシカメラ横浜の店員さんは、厳しい。
イヤホンは試聴しないけど、チップは試したいのだ。合わなければ救いようがないから。
むっとしつつも、大枚3000をはたいて購入。
早速試したが、世界が一変した。音の力強さがぐんと増した。
低音はしっかり、高音はきらきらと、伸びがいい。ボーカルはつやがある。バランスもとてもよい。
このイヤホンの実力が、ようやく発揮された。
改めて「鼓童」の曲を聴いてみると、からからした感じは消え、芯のある音で、皮の振動が伝わってくる。
いい感じの太鼓の音楽で、楽しめる。
驚いたことに、それまでずっとこうだ、と思い続けていたWalkmanの全体の音の感じが、よりつやのある感じに変わった。
iPodの方がいい音がする、と信じていたのだが、必ずしもそうでないと思うようになった。
その意味で、HP-FX500は、Walkmanとの相性がいい。
このイヤホン、とにかく圧倒的な情報量である。この曲にはこんな音がこんな風に重なっていたんだ、ということがよくわかる。
例えば、BeatlesのLoveのアルバムにたくさん施されている、音の仕掛け、企みが発見できる。
少しずつ移動する音、かすかに響く自然の音等々。
音場が広いのも特徴の一つ。
HP-FX500はダイナミックのカナルイヤホンの一つの完成型かと思う。
ER-4Sが電気のぬくもりを感じさせるのとも違う個性だ。
ヘッドホン売り場で僕が試聴を重ねた数々の高級ヘッドホンと較べても、全く遜色がないと言っていい。
クラシック、Jazz、Rockと基本的になんでもござれだが、特に生音系は気持ちいい。
「衝撃だった。今まで聴いてきた音楽をぜんぶ聴き直したくなった」という
商品企画担当者のインタビューに嘘はない、と確信している。
http://japan.cnet.com/review/...
残念ながら、当初目論んでいた通勤の友としては今ひとつだ。
低反発タイプのフォームチップは、遮音性がいいとは言えず、周囲の音が良く聞こえるから。
就寝前に、寝床で聞いたりするには最高だが。
- 2008/03/02更新
- 2008/03/01登録
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