サクラを救え―「ソメイヨシノ寿命60年説」に挑む男たち 平塚晶人
染井吉野は江戸末期に今の駒込辺りで誕生した突然変異種である。染井吉野は奇形で実生(種から成長する事)はしないため、全国に80%ある染井吉野は同じ遺伝子を持つクローンである。性質も全く同じなので咲く時期も同じ、開花宣言する気象庁にとっての桜とはこのまったく「都合の良い女」染井吉野のことなのである。
生育が早くどの土地にも馴染むこの桜は、明治期に爆発的に普及するが、誕生して40年ほどでその勢いを失い、その寿命はせいぜい60年ほどであるということが分かった。またバラ科の植物には厭地という現象があって同じ種は同じ土地で育つことができない。というわけでほっておくと全滅するクローン兵士たちは、時期がくると土地ごと総入れ替えされる。隅田川も荒川も、はたまたあなたの家の近くの桜の名所も四十年に一度土ごととりかえられていたのだ。しかしこれは地主が力を持っていた時代のことで、自治体や地域住民の声を無視出来ない現代ではそうそう”歴史”ある染井吉野を切ったり、”思い出”の無い桜(この場合実生の山桜だったりするのだが)をもってきたりできなくなりつつあるのである。
この本はその郷土の”歴史”を守り今や定説となっている60年の寿命に抗うべく、染井吉野の延命を計ろうとする青森県は弘前市職員の三世代に渡る活躍を描いたノンフィクションである。
書籍情報
弘前公園
- 2008/03/12更新
- 2008/03/12登録
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