バイシュンチジスピッツァー
買春知事スピッツァー
「買春」の文字で始まる語とはいささか物騒だが、おっちゃんことA boy about 17さんがユーザー資格を賭して指弾しているとおりの、「セックス」の語を冠した娯楽作品のバナーが中央上部バナーに恥ずかしげもなく掲出され続ける(続けた?)空間では、まして社会派なのである私のキーワードは、何ら問題ないであろう。
いや、それにしても、買春容疑が確実なNY州知事本人にもまして、私も何やら恥ずかしいのは、私も大枚はたいて「エンペラーズクラブVIP」なる組織を利用したからではなく、事が発覚する数日前に、CLASHさんの2008年3月7日付の日記「バラク・オバマ」のコメント欄で、件の知事にふれて、「4年後(もしくは8年後)には共和党から、エンロン事件で名を上げていまはニューヨーク州知事のスピッツァーが出馬することを、私は予言しておきます(そんな報道はまだないけどソノ気がみなぎっています)」と書いていたからだ。
そう、タイミングだけでも超はずかしいが、私は民主党のスピッツァーを共和党と書いている。だって、ちょっとだけ言い訳するとネ、あるときインタヴューで、やたらオバマの悪口を言ってるからてっきりそうだと思ったのだが、このひと、じつはあからさまなヒラリー・クリントン派だった、というわけ(そこまで知るか、選挙権もないのに)。
いやだなぁ、ヒラリー派ときたら、やたら人格攻撃が得意で。あまりにひどいからヒラリーのことを「モンスターだ」とつい本音をもらしちゃってオバマ選対を離脱した某女史の見立てこそ正しいのであって、というのも、ヒラリー自身が、オバマが数か月前から流している資料に急に噛みついて「恥を知れ!」と罵ったかと思えば、その舌の根も乾かぬうちに自分より獲得議員数が多いそのオバマに副大統領になって私と組まないかと持ちかけたり、みっともないったらありゃしない。
そうした「いやらしさ」(「女の」と前につける勇気は今日の私にはない/笑)が支持率低下に結びついていることに気づいていないらしい、そのヒラリーなのだが、いやいや、今回のスピッツァーの件では彼女もその余波を被っている。
というのも、〈なぜこうもセックスにまつわるスキャンダルで恥をさらす政治家が多いのか〉風の特集がいくつも昨晩あたりニュース枠で流れていて、そのたびに、かれこれ十年ほど前の、彼女の現夫で元大統領のビルの、モニカ嬢とのもっとこっぱずかしい「不適切な関係」発覚の折の、夫婦で並んで謝罪記者会見に臨むようすが映し出されたのだからである。
元職の強みを生かして「こんなのアリ?」と思える仕方で妻の応援演説をおこなったり、そうやって出過ぎて「ビラリー」(二人の名を合体させている)とか「二人三脚大統領」(数週間前から読まれたco-presindecyをこう訳しておく)とかの揶揄が飛んできたら急に好々爺を気取る、共和党候補マケインより10歳以上若いビルときたら、ホワイトハウスのデスクでナニしてたというわけだから、褒められたものではないとはいえ高級コールガールを買っていたスピッツァーより(ある意味では)はるかに重大な結果責任を負うべきだったのであり――だけれども彼は大統領の椅子に座り続けてその同じ椅子にこんどは妻が座ろうとたくらんでいる――、その、いま米国民に思い出されてはまずい記憶が自分を応援する有力州知事のおかげでゾンビのようによみがえってきた。
メディアも残酷なものだ、と思うがしかし、この国[米国]は、日本だったらもうそんなことはするまい仕方で、ハイスクールや女子大に通っているのだろうスピッツアーの3人の娘の写真や映像まで平気で流している。ミスター・クリーン(ニューヨーク州司法長官時代には例のエンロン事件摘発で名を挙げたからね)にして次期大統領候補の呼び声だってなくはなかった栄えあるキャリアを棒に振った本人は身から出た錆だとしても、家族はいかにもかわいそうだ。
いや、上のクリントン夫婦(笑)のケースでもそうだったが、男=夫のセックス系スキャンダルの発覚後になぜ、妻がいっしょに謝罪会見に出なければいけないのだ!‽
問うているのは、理由がわからないからではなく、反語、反問だ。たとえば私がスピッツァーと同じ嫌疑をかけられたら(想像したくもないけど例え話ですから/笑)、私の妻なら、なんで私が出ていく必要があるのよコノおたんこなす!、と私を罵倒し、蹴飛ばし、ゆえに私が例の茨城県選出衆議院議員・赤城某のように絆創膏だらけで記者の前に立つのは必定だからである。
そう、しかしこれが、(私もかつて日記の最後にチラと書いたことのある)米国流家族愛フォーマリズムの、とりわけ政治家レベルでの歪んだ発現なのである。
ということで、私はゆえに、スピッツァーへの、あるいは大嫌いなヒラリーの夫へさえの、ある種の同情心を隠さないでおく。そしてまた、われわれが今回の件(そしてそれによってよみがえりつつあるさまざまなスキャンダル)から引き出すべきは、売買春はよくないねといった凡庸な道徳心ではなく、この種のフォーマリズムへの徹底的な違和感にほかならない、と書いておく。
※ 追記1: こんなお下劣なおこちゃまの日記なんか読んでやるか、と正直あるときまで思っていたA boy about 17さん(ごめんね)については、私は「共感」(もちろん彼の全言動にたいするものではない)を、彼のこの日記のコメント欄で語っている。
※ 追記2: 上記のCLASHさんの日記でご本人から指摘していただいたとおり、スピッツァーの場合は「同州検察トップの首席検事として売春婦の摘発に乗り出していたこともあ」る職歴にも照らして、事実に係る責任はより重くなる旨、明記しておくべきかと思います(本当なら本文中でそれを織り込むべき荒唐無稽さ→投稿翌日の微修正ですこし反映)。
(米国東部時間12日19時19分; 同47分に1つ目の追記、同22時51分に2つ目の追記; 同20時31分および翌13日10時10時18分 微修正 )
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