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多民族共生の街・新宿の底力 (タミインゾクキョウセイノマチ)

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移民受け入れの智慧袋――多文化・多言語社会の現状と課題から

「移民問題」についての話を聞いた。
スピーカーは、大東文化大学准教授の川村千鶴子さん。
そもそもの学者ではないが、新宿百人町の出身。その「地の利」で、地域に住み、暮らす韓国・中国を初めとする多国籍の人びとと、関わりながら育ったようだ。そして留学生の世話などを糸口に、NGOを立ち上げたことで、新宿区の窓口との遣り取りから、さらに一歩進んで日本政府の「出入国管理の問題」にまで関わるようになった。そこに大学からの勧めがあって、他民族との共生問題や、異文化間教育などを専攻対象にするようになってきた、というのがスピーカーの輪郭。「多民族共生の街・新宿の底力」という著書がある。

雑談風の異民族問題の話から。大東文化大学というと、連想するトンガ出身の選手。駅伝、ラグビーに頑張る姿がある。トンガからやってきた留学生の世話を焼くようになったことが、彼女を同大学と結びつけるようになった。トンガは、南太平洋の島国。それこそ、何もない島だという。大相撲の武蔵丸の、そもそもの出身がトンガだという。

そこの「正装」は、男性でもスカート状のものに、王様は腹のまわりに茣蓙のようなものを巻いていたらしい。その留学生たちが、その正装をして街を歩いた後、彼らの住まいに「オカマ」という落書きが大書された、という。

そんなトンガ。国にこれという産業があるわけでなく、出稼ぎ仕送りなどが大きな収入源になっている貧しさ。だが、そこから留学生を受け入れ、学んで人が帰っていく。双方の国にとっても良いことだ。他国と理解しあうためには、留学生を受け入れることが有効である――と。

話は先へ進む。留学生の受け入れは良い。しかし、出稼ぎ目的を疑われるような中国留学生のケースをはじめ、日本で学ばず、専らアルバイト労働、金になる仕事、不法残留……、となっていくと、留学問題は移民の問題と境を接している。一定の条件で入国、受け入れをすることは、主権国家として大事なことである。


外国人の入国に関しては、難民の問題もある。難民の受け入れに関しては、日本も国際条約を批准しているが、その「難民」として認定するに当たって、どのような状態が「難民」であるのかを、定義するにあたっての困難がある。法務大臣なり入国管理事務局の判断しか、その物差しがない。

入国した外国人の犯罪も、問題視された、議論になる。本当に「第三国人」発言の石原都知事がいうように、在日外国人の犯罪率が高いのか。犯罪統計というものは、自然統計とは異なり、「犯罪」の定義と検挙の恣意性とによっても、偏った見方の補強材料になりかねない。

だが、どうやらこの国には、「移民法」はないらしい。
日本にあるのは「出入国管理及び難民認定法」で、その出自をみると昭和26(1951)年で、GHQが米国の移民法を手本に作った所謂「ポツダム政令」で、当初は外務省が所管、独立後に法務省に管轄が移った。それというのも、当初の出入国管理の対称が、在留の中国・朝鮮籍の人たちであったことと深く関わっているようだ。(この項はスピーチ外)

法務大臣の特別残留を認める条件、というものが恣意的なものであることが一番の問題であろう。不法残留にしても、現実として何年を超えて残留している場合に、その現実を追認するのか。生まれた子どもが送還された母国語も話せないような場合には認められるのか……。そこに一律の物差しはない。残留者は入管の目を恐れ、怯えながら不法状態を続ける。

議論となるのは、将来の日本の姿だ。それも焦眉の急。少子化がますます進む日本で、真剣に考えれば考えるほど、よその国から若い人に来てもらい、助けてもらわなければ、われわれの介護の問題ひとつをとっても、困り果てる日がくるのではないのか、と。

他国から人を移入しようとする移民の方向と、多民族を排除しようとする内向きの方向。これは私見では、経済社会の動向と密な関係にあるし、社会が逼塞して欲求の吐けどころを失っている時には、ナショナリステックな振れのなかで、排外的な力が作用してきたのだと思う。

どうすれば良いのか。スパっとした結論がある訳ではない。いずれにせよ、日本という国が、そこに暮らしている我々が、移民について、どう考えていくか。その議論の中から、その考え方を可視的にするためにも自前の移民法を作るべきなのかもしれない。

同時に、どのような社会になるにせよ、民族や国籍の違う人が隣にいること、その理解が共生につながっていかなければ、摩擦が増えるばかりということにもなりかねまい。

多民族共生の街・新宿の底力

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