『怖い 絵』
旅の枕に、と思って持参した。
「怖い絵」といういかにも読者が食いつきやすいテーマに絞って、20点の名画(カラー掲載)の背景説明と絵解きで構成された案内書。発売当初はかなり注目を浴びたらしい。
各作品について、背景と解釈と著者の思い入れが適度なバランスで盛り込まれているため、とても読みやすい。自分の知らない作品についても、興味をそそられた。
一つの作品のオモシロ怖さを、肩ヒジ張らない文章で伝えるのは難しい。美術関係者からの批判もあるようだけど、表題や作りから見ても、これはアカデミックな参考文献じゃない。「読み物」として味わえれば私には十分で~す。
個人的には、ルドンの『キュクロプス(一つ目巨人)』が面白かった。読み進むうちにゾワゾワ来た。いかにもファリックな姿で描かれたキュクロプス。そのまなこはあどけく、想い溢れるだけに、躊躇なく残酷だ。著者はルドンの生い立ちから母親との関係を注視し、「一つ目」の深層を探る。画家とキュクロプスのまなざしが交錯するところに、切なさを感じる。
どのエッセイにも結論はなく、開かれたまま終わるからこそ、著者が導くように絵を眺めてみたくもなる。私のようなごく一般の「どこか変なArt」好きでも気軽に読め、さらにその絵の世界に潜り込みたくなる。尋は深い。寝る前に読むと楽しい(?)夢が見れる。
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