Jeanette Winterson: LIGHTHOUSEKEEPING
灯台守の話
私たちは、大好きなパートナーや家族や友人やご近所や職場の同僚やこの社会をともに育んでいる方々に、いつも少しだけ多めに期待しているのかもしれない。まぁ、自分のことを棚上げにして。
だから、時どきがっかりさせられ、それがたび重なればとても疲れるし、いたる所で自分がひき裂かれているような気分を味わうことさえ少なくないだろう。でも、そんなときは“いたる所”で物語を語るんだ。
『灯台守の話』の主人公シルバーは父を知らず、幼くして母を亡くした少女として私たちに語りかける。そして、すでにその光を必要としなくなりつつある時代の灯台で、盲目の灯台守ピューと暮らし始める。
著者のジャネット・ウィンターソンは私と同じ年に、英国北部の工業都市マンチェスターで孤児として?生まれる。多くの場合“狂信的”との形容詞を付されるペンテコスタ派を信仰する養父母に育てられたが、同性愛者ゆえに家を追われる。
もうひとりの主要人物──ダーク牧師を含めて、この物語に登場する人びとの境遇は幸せとはほど遠い。しかし、その悲惨さが物語として語り直されることで、やけに明るくなる。それは、様々な職業を転々としながらも独学でオックスフォードにたどり着く著者の内面に通底しているものなのだろう。
少しだけ我慢して読み進めてほしい。いつしか幸せな気分に包まれている自分に気づくはずだ。
Tell me a story, Pew.
What kind of story, child?
A story with a happy ending.
There's no such thing in all the world.
As a happy ending?
As an ending.
私たちが主人公のいくつかの物語だって、まだ始まったばかりだ。
- 商品名: 灯台守の話
- 価格: ¥2,100
- 著者: ジャネット ウィンターソン
- 出版社: 白水社
- 発売日: 2007-11
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コメント (4)
2008/04/18
雲衣。 灯台守をモチーフにした日本ドラマの名作『喜びも悲しみも幾年月』←(画像は1965年のTV版)をつい思い出しました。 若山彰のうたう主題歌も、沖ゆく船のため灯台を守る夫婦の健気さになぜか昔から琴線に触れすぎて涙なくしては聴けません/笑。ご迷惑だったかも知れませんが、、、
四月の旅人 私もふれたかったのですが、この名作を長いことビデオに収めたまま未見です・・・汗。物語の中では人びとに道を示す光と、灯台の内部に広がる闇もまたたいせつなモチーフになっています。
てんs ジャネット・ウィンターソン、随分昔に「ヴェネツィア幻視行」を読んで一時ハマっていました。 最近の本も良さそうですね。 新しい本が出ているのは知っていたのですが、なかなか手が出ずじまいで。
2008/04/19
四月の旅人 てんsさん、コメントありがとうございます。大学に入るころ八王子に引越して来て、すでに30年近くになりますが、ご近所以外あまりよく知りません。東京都民と八王子市民が同居している気もします。新刊を手にとるようになったのも数年前のことで、評価はきっと甘いですよね。
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