ファイルメーカープロ
ファイルメーカーPro
データベースソフトウェア。「使いやすさ」を主眼としたユーザーインタフェースを持つ。とかくAcceessと比べられがちな存在だが、まったくの別物と考えたほうがよいだろう。
■歴史的経緯
はるかかなた昔、マイクロソフトとアップルは、ほぼ同時期に自社で販売するデータベース製品を物色していたと噂されている(真偽のほどは定かではない)。
当初、ファイルメーカーはマイクロソフトが、アップルはAccessを物色していたと伝えられている。それが、最終的にはファイルメーカーをアップルが買収して自社製品に加えたのだという。
製品名称は現在のものになるまで、2転3転している。ファイルメーカー、ファイルメーカー2を経てファイルメーカーProとなったとする説が有力。ただし、ファイルメーカー2などの製品を知っているユーザーはほんの一握りであろう。
かくして、「ファイルメーカーPro」となってから続々と機能向上が行われ、当初はカード型データベースであったものが、リレーショナルデータベースの機能やODBCの機能、スクリプト制御の機能などが付加され、Windows向けバージョンやLinux向けバージョン、Palm向けバージョンなどが登場し、今日に至っている。
特筆すべきは、ファイルメーカーの登場当初から、ほぼユーザーインタフェースが変更されていない点である。換言すれば、登場当初のインタフェースがそれだけ優れていたということであり、このソフトの基本となるものを作り上げた開発者の優秀さがうかがわれる。
クラリスの取り扱い製品であったが、バージョン4.0のときにファイルメーカー社に移管される。ただし、それは単なる呼称レベルの問題であり、ファイルメーカーがアップルの子会社であることに変わりはない。Jobsの基調講演などで、ファイルメーカーProを指して「われわれの製品」と呼ぶことからも、両社の血縁の深さを伺い知ることができよう。
アップルのソフトウェア製品「AppleWorks」のデータベース部分はファイルメーカーProを元にした(酷似した)インタフェースとなっており、これは知的所有権の所在がどこにあるのかを明示しているほか、両社の間で人的交流が頻繁に行われていることの証左ともいえよう。
ファイルメーカーProをなぜMacにバンドルしないのか? という疑問もたまに聞くが、たぶん、バンドルするとこの辺りの事情で法的に突っ込まれまくる危険性もあるのでは? などとひそかに思っている。標準バンドルされないことよりも、Mac OS Xの新機能に真っ先に対応した製品が登場してくることに意義を見いだしたい。
Windows上で使ったこともあるが、自分が丹精こめて作り込んだレイアウトがものの見事に崩れまくっているのを見て、とても悲しい気持ちになった。以来、Windows上で使った記憶がない(Windowsそのものを使った記憶もない)。
■ファイルメーカーProのバージョンアップ履歴(主要な点を紹介)
v.1.0 知らない(^-^;
v.2.0 知らない(^-^;
v.3.0 FMサーバー対応、リレーショナル機能、スクリプト機能、AppleScript対応。ほぼこのバージョンで今日のファイルメーカーProの姿が固まった。
v.4.0 スクリプト機能などをアップ、Web共有機能を備える
v.4.1 ODBCをはじめとするプラグインをサポート
v.5.0 officeとの親和性向上。開発ベースをPascalからC++に移行
v.5.5 Mac OS XやLinux対応など、対応プラットフォームがひろがる
v.6.0 Flashの表示サポート、デジカメ画像のインポート機能などを付加
なお、小数点第2位の数字でマイナーバージョンアップ(不具合の修正など)が行われている。ほぼv3.0以降がアップデート対称となっている。
■製品ラインナップ
現在、ファイルメーカーProには、
・デスクトップ向けのファイルメーカーPro
・データベース共有のためのファイルメーカーProサーバー
・Web向けのデータベース公開機能を強化したファイルメーカーunlimited
・開発者向けパッケージであるファイルメーカーPro Developper
などがある。これに、
・Palm向けのFileMaker Mobile 2 for PalmOS
・iModeアプリ向けのFileMaker Mobile for i-mode
などが加わってラインナップを形成している。それぞれボリュームディスカウントも用意されているが、一定数以上であればファイルメーカーの開発者団体である「fsa」(FileMaker Solution Alliance)に登録するとさまざまな特典が得られるため、とくに仕事で一定数のクライアントを抱えている場合などには一考されたい。
■幅広い用途に
デスクトップ向けのデータベースとひとことに言ってしまえばそれだけの存在だが、コンピュータとデータベースソフトウェアの組み合わせは、オーソドックスながら今なお有効なソリューションであり、コンピュータの導入によるメリットを強く実感できるものでもある。
そのうえ、ファイルメーカーProをMac上で利用し、他のソフトウェアとAppleScriptで連繋させられると、ソリューションの幅は大きく広がる。
■向き・不向き
何にでも使える優等生的なソフトであり、自分が何かを作るときにファイルメーカーProの存在は欠かせないものとなっている。
だが、そうはいってもクセの強いソフトであり、他のデータベースに慣れたユーザーが面食らう仕様も散見される。
自分的には、
・運用中のデータベーススキーマが自由に変更できる
・スクリプトの命令が独特(分かりやすいがクセがある)
・テキストフィールドに文字単位の書式情報が保持できる(スタイル付きテキストがデフォルト)
といった点に面食らった覚えがある。
ほかにも、ソート処理がそれほど高速でないクセに置換処理が比較的高速(その差は尋常でない)、ソート後のレコード並び順を維持できない・・・などなど、データベースの常識が通用しない点もある。
仕事で使い始める前に1か月ほど、電車の中でマニュアルを熟読し、まさに手垢で黒くなるまで頭に全体像をたたき込んだ。結果として、
・搭載のスクリプト言語はバッチ処理に向いていない
という結論が出た。そもそも、変数が存在しないので柔軟な制御を簡潔に記述するようにはできていない(スキルフルなユーザーはグローバルフィールドを変数として扱う)。ファイルメーカーProでバッチ処理を行っているデータベースがあれば、それは相当のスキルを持ったユーザーが作ったものであると見て間違いない。
他のデータベースに慣れたユーザーには、ファイルメーカーPro搭載のスクリプトよりも、AppleScriptから制御するほうが分かりやすいこと請け合いである。だいたい、ソートするのに正順・逆順・どのフィールドをキーにするかなど、ファイルメーカーのスクリプト中では具体的に表示されないからだ(一度、その操作を行って記憶させるというのがファイルメーカーの流儀)。
とはいえ、データベースというものの存在をこれだけユーザーに近づけてくれるソフトウェアも珍しく、ことに画面作成の機能はペイントソフト並みであり、自分的にはHyperCardの末裔と呼んでいるほどである。
■Mac OS X環境におけるファイルメーカーProの意義
Mac OS XはUNIX-BasedなOSであり、UNIX上のアプリケーションが数多くポーティングされている。
Mac OS Xになって、UNIXベースのRDBMS製品との競合から、ファイルメーカーProは不利なのでは? との観測もあった。
しかし、これがまったくの的はずれな議論であることは明らかである。そもそも、デスクトップ向けデータベースとそれらのRDBMSとではターゲットも役割もまったく異なる。
フリーのUNIX用RDBMSとファイルメーカーProの競合はない。
では、ファイルメーカーPro自身の問題として、従来のMac OS 9からMac OS Xへのジャンプアップにそれだけの費用に見合う「意義」は存在し得るのか?
ネットワークのスループットが上がったことにより、ネットワーク上で利用した場合のパフォーマンス向上が伝えられている。レスポンス向上がOSとソフトのアップデートで得られるのであれば、それは明確なメリットといえるだろう。
さらに、Mac OS X自体の並列処理性能の高さにより、複数のアプリケーションを同時に動かして、それぞれ並列に処理を行って、結果を得るような用途では、明らかなアドバンテージが見てとれる。
前述のMac OS X用疑似人工知能インタフェース「Newt On」が実現したのも、このMac OS X版ファイルメーカーProの登場あればこそ、であった。AppleScriptから制御した場合の動きのスムーズさは、Mac OS 9ではあり得なかったことだ(プロセスごとのCPUパワーの取り合いが顕著であった)。
■Classic版とMac OS X版の簡単な区別
Mac OS X環境でファイルメーカーProを使用していて、おもむろにScript Editorを起動し、AppleScriptを書こうとしたとする。
しかし、従来どおり「tell application "ファイルメーカー Pro"」と書くと、Classic環境のファイルメーカーProが起動してしまう。
ここでは、おもむろに「tell application "ファイルメーカーPro"」と、半角スペースなしで指定するのが正しい。半角スペース1つの違いで両者の区別をしているのだった。
MacOS 9.2.2上で使うことが多いため、両方のOSを再起動して行き来しているとたまーーに間違えることがある。些細な点だが、間違えるといちいちMac OS X上でClassic環境が立ち上がったりでやっかいだ。
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