吾輩は天皇なり―熊沢天皇事件 (学研新書 14)
何で今頃、熊沢天皇なのか、とも思う。というより、「熊沢天皇」というおと自体を知らぬ人が多くなっているかもしれない。戦後の混乱期、南朝の末裔を自称し、「北朝方の現天皇はニセモノだ!」と訴えて、時代の寵児になった熊沢寛道という人物が、その天皇だ。明治22年12月18日に愛知県一宮市で生まれている。尾張時之島という土地柄。ここに南朝の末裔がいるのだが、その中で直系を唱え、北朝のアキヒトはニセモノだと戦争中から訴え、自身が正統な天皇であることの確認を求め続けた伯父の熊沢大然の養子となる。終戦後、「時は来たれり」とマッカーサー元帥宛の請願書としてGHQに出した文書を、「ライフ」や「ヘラルド・トリビューン」の記者らの目に止まった所から、騒動が始まる。とはいえ、その主張は、戦前の「南朝・北朝」のいずれが正統であるか、という論争の時代から、「国体」と称するものの本体である「万世一系」という「血」を巡って議論の対象にはなってきていた。この本の面白いのは、熊沢という一人の人間だけでなく、その一人を取り巻く人びとの思惑などが読めてくること。また戦前の特高などが遠巻きに監視を続けていたさまも異常であるだけに面白い。結局、何度かの浮き沈みを経つつ、「天皇」は昭和41年6月11日、妙光尼という神憑りの人にだけ付き添われ、78歳で崩御。天皇制の陰画といえるのかもしれない。筆者の藤巻一保氏は、1952年、北海道生まれ。作家・宗教研究家。「宗教における神秘主義をテーマに、歴史のタブーにも光をあて、旺盛な執筆活動をおこなう」と著者紹介にある。「安倍晴明」「役小角読本」「魔王と呼ばれた男 北一輝」などの著書。
- 商品名: 吾輩は天皇なり―熊沢天皇事件 (学研新書 14)
- 価格: ¥777
- 著者: 藤巻 一保
- 出版社: 学習研究社
- 発売日: 2007-09
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- 2008/05/01登録
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