奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)
初版は1970年。日本美術史で、傍流、異端視されていた画家を正当に位置付けるきっかけとなった著作。取り上げられている画家は、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、永沢蘆雪、歌川国芳。
今となっては「奇想」というキーワードや章立てのタイトルに時代は感じるものの、やっぱり重要な本ですな。実をいうと、私もこのタイトルのせいで、この本を長らく手に取りとり損ねていた。ちなみに帯は、村上隆。
トップバッターに取り上げられている岩佐又兵衛は、近年、「キルビル」を越えるエログロスプラッタ絵巻山中常盤が映画化(絵巻をほぼそのまんま撮影する形式)されている。しかし、この本で又兵衛があの歌舞伎の「ども又」(近松作)のモデル(だいぶいいほうにゆがんでいる気がするが)だと知って驚愕。同一人物か!歌舞伎の方だとあんないい人そうなのに!あんな、常盤御前のおっぱいポロリや、ワイヤーアクションで盗賊を皆殺しにする義経や、盗賊の死体を簀巻きにして川に捨てたり、する絵巻を描く人にはとても見えないよ。これから、歌舞伎の「ども又」が素直に見られなくなりましたよ。しかも、又兵衛が、信長を裏切り、自分は茶道具もって城をいち早く脱出、一族郎党を皆殺しにされた荒木村重の遺児と聞いて二度びっくり。そりゃあ、あんな絵も描くようになりますな。絵巻が展示されているMOA美術館に無性に行きたくなった。
岩佐又兵衛、絵柄が黄桜の河童の人にちょっと似ている。膨大な絵巻。内容が内容ゆえに、岩佐又兵衛を中心にアンダーグラウンドな工房で作られたらしい。アングラ絵巻、ですよ。この絵巻の映画化された時のサブタイトルが「母と子の物語」だそうで。。
- 商品名: 奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)
- 価格: ¥1,365
- 著者: 辻 惟雄
- 出版社: 筑摩書房
- 発売日: 2004-09-09
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