六番目の小夜子
『夜のピクニック』が恩田陸の著作で最初に読んだ1冊だ。『夜のピクニック』が持つ高校生たちの独特の雰囲気というか空気、SFで言うと頃のセンス・オブ・ワンダーが妙に気に入ってしまった。『六番目の小夜子』は恩田陸のデビュー作だが、その高校生たちの醸し出す独特の雰囲気は本作で登場したといってよい。恩田陸らしさが詰っているのだろう。
『夜のピクニック』が一夜を舞台にしたものだが、『六番目の小夜子』は一年の時間軸、春から次の春までを描く。当たり前だが高校生にとってちょうど一学年の期間に相当する。とある地方の進学校に3年生になってから転校してきた、ある少女。その少女をキーにして物語は進む。その高校に代々伝わる奇妙な少女伝説とあいまって彼女の存在はある種、謎なのだ。このあたりホラー小説ぽいところがある。この奇妙な伝説と高校生たちの青春生活が並列して進んでゆく。受験勉強漬けの毎日と伝説の同居、これがまた独特の不思議さを演出しているのだと思う。
登場する彼女ら彼らは実に偏差値が高そうだ。進学校だから当然かもしれない。また彼女ら彼らは実に育ちが良さげなのだ。タバコすったり酒を飲んだりするけれども、品が良い。そして、喋り方も。イマドキの高校生はこのような言葉遣いはしないだろうなぁという喋り方をする。なんとなく今は亡き良き時代へのオマージュみたない感がなくもない。この作品はファンダジノベル大賞候補作とのことだが、ノミネートされた当時はともかくとして、今では本作のような高校生はまるでファンタジーノベルのように感じてならない。ただ、これが恩田陸作品の特徴でもあり、人気がある秘密に違いない。
ところで、『六番目の小夜子』を読んでいて残念なことが少しある。物語に張られた伏線がラストで収縮しない。いったいぜんたいあの部分はなんだったのだろう?と疑問が残る。その点では荒削りなところがある小説なのかもしれない。なにしろ作者曰く、三週間ぐらいで書いた、らしい。そこは多少目をつぶっても、この作品は、ぐんぐんと物語を読ませる力はある。そして、描かれている雰囲気がとても良い。何より描かれている高校生たちが魅力的だ。またこの世界に出会えたらと思う。
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