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くろいあめ いまむらしょうへい

「黒い雨」今村昌平

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原爆を扱った作品だが、通り一遍の反核映画ではない。

原爆による黒い雨を浴びたために人生を狂わせられてしまった女性と、それを暖かく見守る叔父夫婦とのふれあいを描く。井伏鱒二原作の同名小説の映画化

という作品で、ところどころピカ(白黒作品なので惨状が抽象化される)が回想的に挿入されるが、映画の中心的主題はあくまでもピカ後の生活(平和で穏やかな田園風景の中で営まれる)である。

さて、映画の縦糸は、被爆したのではなく周辺部で「黒い雨」を浴びただけなのに、世間からは被爆者と看做されそのために縁談がまとまらない女性(田中好子、ああ、キャンディーズ)、それに反発する叔父(自身も被爆者、北村和夫に存在感あり)、そして、戦車に体当たり攻撃させられたために狂気に陥った元兵士(エンジン音を聞くたびに特攻攻撃の反復体験をしようとする)である。やがて、女性と元兵士とは惹かれあうが、女性には原爆症の症状が…という物語である。

映画を観ながら中国四川省の大地震を想起した。戦争も大地震も原爆もその時点は特殊な時間、人は特殊な時間に特異な体験をするが、その記憶と身体的経験を持ちつつ人は長い長い日常の時間を暮らす。映画は特殊を回想としてところどころ挿入しながら日常(普遍)を中心に描くことで特殊を浮き彫りにしようとするのだ。

映画のラスト近く、池で元気よく跳ねる魚を見て田中好子は異様なまでにはしゃぐ。魚は生命そのものであり、いのちの躍動を見せることで作家(今村昌平)はこの映画のメッセージを観客に伝えたかったのであろう。何があってもどんなことがあっても人は生きる、生命ある限り。

「黒い雨」今村昌平

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土曜日
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  • 監督: 今村昌平
  • 出演: 田中好子, 北村和夫, 市原悦子,
  • 販売元: 東北新社
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  • 2008/05/22登録
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