ストーン・テンプル・パイロッツ / パープル
Stone Temple Pilots / Purple
94年作品。ストーン・テンプル・パイロッツ(以下:STP)はグランジ・ムーブメント全盛の中でデビュー(92年)し、その流れにおもいきり飲み込まれた。メディアが持つ恐ろしさを良い部分でも悪い部分でも吸い込んでしまった彼らだが、見事にムーブメントを乗り越え、現在も活動を続けアルバムをチャートに食い込ませている。今回は、初期の彼らの才能がぶつかり合った破竹の勢いのアルバムをご紹介したい。
STPはサンディエゴで結成され、地元を中心に地道に活動を始めた。だが、ダークへヴィであるにもかかわらず、音はメロディアスであることから、当時のグランジ・ムーブメントのツボにはまり、突然、92年にメジャーのアトランティックから1st『コア』をリリースし、華々しくデビューを飾る。MTVでは”セックス・タイプ・シング”と”プラシ”のクリップが連日流され、アルバムは瞬く間に700万枚の売上を記録。ニルヴァーナ、パール・ジャム、サウンドガーデンに続く期待のニューカマーとしてシーンに迎えられたのだ。
ブームに乗るバンドの恐いところは2枚目のアルバムだろう。だが、彼らは一躍スターダムに乗っかった「時代の産物」であったがゆえに、その流れのままにセカンドを発表することが出来た。『パープル』ではレコード会社のバック・アップもあり、STPは好き勝手に自分達の音楽を探求できたのだ。幅広い音楽性とそれについていけるだけのテンションを保った作品、攻撃的でいてナイーブな世界観は深く、スコット・ウェイランド (vo)のヴォーカルにぴったりマッチングしていた。つまり、はっきりとここで彼らはSTPというバンドの100%を出し切ったのだ。
だがこの後、勢いに乗りすぎたあまりスコットはドラッグに手を染め、麻薬所持で逮捕された。解散の危機を乗り越え3rd『ヴァチカン』をリリースする(音楽性の拡散はここでもさらに進んだ)も、スコットのドラッグ癖は治らず、またも逮捕。再びバンドは解散への道に至りそうになる。そして釈放されたスコットはソロへ、残りのメンバーは新しいヴォーカルを加入させ別バンドを結成。だが、ここでグランジムーブメントが沈静化してきたため、双方のアルバムがヒットすることはなく、再び彼らはSTPとして活動を再開することになる。メディアのバックアップなしに作られたアルバム『No.4』以降、彼らはひとつ別のステップへと向かうように、音楽活動を始めた。結果、昔ほどのカリスマ性がなくてもリスナーは受け入れ、彼らは普遍的なロックンロールバンドとして認知されるようになったのだ。
彼らが生き残れたのは、一つに彼らの音楽が決してブームに乗っかるのみのバンドではなかったということだろう。そしてもう一つには彼らは上手くメディアに乗っかったからこそ、音楽性を開花し、次のステップに進めたということなのだ。プレッシャーによるドラッグを抜け、彼らは砂漠から大地へと一歩一歩踏み出している。
どこかに運がきっとあって、それに乗っかれることはあるはずだ。そのためにも、まずは活動あるのみということを彼らは暗に教えてくれたのかもしれない。
- 価格: 2330円
- メーカー: イースト・ウェスト・ジャパン
- 年(代): 1994年
- 団体名: ストーン・テンプル・パイロッツ
- 2002/07/29更新
- 2002/07/28登録
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