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トールキンのガウン―稀覯本ディーラーが明かす、稀な本、稀な人々 (リック・ゲコスキー)

 イギリスの稀覯本ディーラーによる、本の出版されたいきさつとそのコレクターの話。

 初版本、手拓本コレクターに関してはどこの国も同じなんだなあと。初版本にかんしては、コレクターは出版された当時の新品同様のものを求め、ちょっとでもきれいな本を見つけると、自分が持っていた本を売り払い新しいものを買うことを繰り返す。彼らは、古くてあたらしい本という一見矛盾したものを求めているようにおもえる。出版された当時そのままの本がどこかにあると信じ、人や時というものから取り残されたものを執念を持って捜し求めているのだ。カバーを覆う、グラシン紙の有無も重要だ。あるとないとでは値段が全く違ってしまう。日本では、帯も重要。飽きたら手放し、手放した後、惜しくなって買い戻すというようなことを繰り返すので、少数の人の間を回る間に値段がどんどん高騰していくことも。いわゆる『複製芸術論』を書いた、ヴァルター・ベンヤミンは児童書のコレクターであったのだが、稀覯本に関してどんな意見を持っていたのか興味をそそられるところ。
 ほか、作家が親しい人に宛てた献呈署名本、作家が蔵書に書き込みをした本、原稿というジャンルもある。いずれも、その世界に居る人でなければ分からない価値だ。極めつけはこの本に出てくるトールキンのガウンだろう。
 この本に出てくる幾人かの作家に関しては、作者が実際に会った時のエピソードが語られる。特にグレアム・グリーンとの交流は『ロリータ』の複雑な出版の経緯と共によく知られているものだ。あと、サリンジャー。ある意味噂どおりの人だ。

 まあ、今まで聞いたことのある話も多いし、肩透かしをくらったような章も多い。2100円はちょっと、高いなあ。

 

トールキンのガウン―稀覯本ディーラーが明かす、稀な本、稀な人々

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Rume
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  • 商品名: トールキンのガウン―稀覯本ディーラーが明かす、稀な本、稀な人々
  • 価格: ¥2,100
  • 著者: リック・ゲコスキー
  • 出版社: 早川書房
  • 発売日: 2008-04-24
  • 詳細をみる
  • 2008/05/30登録
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コメント (6)

最新コメント5件

2008/05/30

Rume あ、『ベンヤミン・コレクション』自宅にそろってるし、実は読んでます。雲衣。さん、書棚からパッと出せるところが凄いです。こちらは、失念してるのが恥ずかしいな。「本来あるべき」「真の」という言葉が示すとおり、理想化された、理念上の、あるべき、蒐集家で一般の蒐集家とはまた違うようなきもします。で、以前も、周りで見かける蒐集家は邪道な蒐集家ばかりだから、でも、ベンヤミンも蔵書を巡るごたごたを見るとこの理想どおりではないだろうなあと、思った記憶が。「老人的な性質」と「子供的な性質」という言葉には、以前読んだ時唸らされた気がします。

雲衣。 いやぁ、文庫と新書は持っている絶対量が少ないため怪我の功名というか意外と簡単に探せます/笑(森茉莉の時のように単行書しかないと捜索不能です)。あるべき蒐集家と愚劣なコレクターの違いは〈姿をあらわす星座〉が創造的であるかどうかでしょう。柳宗悦の『蒐集物語』がとても参考になると思います(ベンヤミンも柳も蒐集に一種の神秘道を認めています)。 おまけ的・私見「老人と幼児」、、、/笑。

メタボリカ KW及びお二方のコメント、興味深く拝読しました。レコードやCDの収集についても同様なことが言えるかと思います。自分も折に触れ、自らのCD収集について考えを巡らすことがあり、是非読んでみたいと思いました。

2008/05/31

Rume 新書は少ないけど、文庫はたくさんあります。愛書家にはバカにされますが。一本筋が通ったコレクションは、まったくの門外漢にもある種の感動を与えずには置かないですね。この本は、知人のコレクターたちの行動との共通点を思い出して、やれやれ、という気持ちのほうが強いかな。この本自体は、図書館で読むぐらいでいいかなあと思います。

メタボリカ Rumeさん、ありがとうございました。先ずはどれか実物を探して、ちょっと見てみることにします。

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