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言葉を虐殺した者たちの戦後。 (小林多喜二『蟹工船』)

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1929年に発表されたプロレタリア文学の傑作──小林多喜二著『蟹工船』が売れているという。

先月(2008年5月)だけで20万部が増刷され、紀伊國屋書店の文庫売上げ(19〜25日)でも5位にランクインしている。読者の半数以上が30代以下の若者たち、社会問題となっているワーキングプアとの関連を指摘する言説が多い。

多喜二は29歳で亡くなっている。33年2月19日築地警察署に逮捕され、翌20日死去。勾留期間はわずか7時間、死因は“心臓麻痺”だとされた。もちろん、戦後を生きる私たちの中に、そんな発表を信じる者はいない

自宅にもどった息子の無惨な遺体に、年老いた母は声をかける。「それ、もう一度立たねか、みんなのためもう一度立たねか」。遺骨は、彼自身が生前建てていた小樽の奥沢共同墓地内の墓に葬られた。命日には毎年、墓前祭がとり行なわれている。

彼を取り調べたのは警視庁特高部長・安倍源基、特高課長・毛利基、中川成夫、山県為三ら。この時期に同署内での虐殺80人、拷問による獄死は100人を超えるとされている。この殺人者たちの戦後はどんなものだったのだろう・・・。

安倍は戦前、警視総監にまで昇りつめ、戦後A級戦犯として起訴されるが釈放。のちに叙勲。右翼のフィクサーとして平成まで生き残る。“特高の神様”と呼ばれた毛利は戦前すでに叙勲を受け、戦後は埼玉県警刑事部長を最後に退職している。

中川は戦後、都内の警察署長を歴任。その後、東映取締役として「警視庁物語」シリーズなどを製作し、64年には北区教育委員長に。山県は戦前、東京府議。戦後はビフテキの「スエヒロ」を経営していたという。

誰ひとりとして罪に問われていない、どころか・・・。

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  • 2008/05/31登録
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コメント (2)

2008/06/01

ネージュ ひと月で20万部はすごいですね。読まれているとは知りませんでした。飲み屋さん街の蟹工船をもじって蟹幸船という名前のカニ屋さんの看板に、嫌悪感を抱いてしまう私です。しかし…皆さん、ある意味、その後ご活躍されていたのですね…信じられません…

四月の旅人 多喜二の死に対しては、ロマン・ロランや魯迅をはじめ海外の文学者からも抗議が寄せられたようです。こちらは少しばかり時代を感じさせますが、魯迅の言葉──日本と支那との大衆はもとより兄弟である。資産階級は大衆をだまして其の血で界をゑがいた。又ゑがきつつある。併し無産階級と其の先駆達は血でそれを洗って居る。同志小林の死はその実証の一つだ。我々は知って居る、我々は忘れない。我々は堅く同志小林の血路に沿って前進し、握手するのだ。

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