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辻信一 / スロー・イズ・ビューティフル (つじしんいち)

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このタイトルに全てが集約されていると思う。本書を読む前と後ではこの言葉の持つ意味がまるで違ったものに聞こえると言ったら大袈裟だろうか。少なくともぼくは、「スロー」という言葉が持つ大きな可能性、本来持っていたはずの悦びを読み取る事ができ、目から鱗が何枚も落ちた。本書は、既存の価値観への強烈なカウンターパンチでもある。


“100万人のキャンドルナイト”の発起人としても知られる文化人類学者、環境運動家の辻信一。

「環境運動」というと、昨年ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏による「不都合な真実」に代表されるように、現代科学による地球破壊というシリアスな側面ばかりがクローズアップされる事が多い。今まで好き勝手に暮らしてきたわたしたちは地球を壊してしまった。だからわたしたちはこれ以上地球が壊れないように、地球を守らなければならない。全くもってその通りである。ただ、最近の異常なほどのエコ・ブームには少し違和感を感じる。エコをしているという自己満足で終わってしまう(そしてそれに気付かない)という罠に陥ってしまう可能性があるからだ。あるいは単なるマーケティングとして利用されているだけのものもあるだろう。エコな新製品を買って、本当にそれをずっと使い続けるのだろうか。ブームが去ればまた新たなものが欲しくなるのでは。今まで知らなかった事を知り、エコに関心を抱くのはとても意味のあることだと思うが、過度な流行は一抹の危険性を孕んでいることも頭に入れておきたい。

以前、TBS「情熱大陸」に出演しているのを見たが、辻信一という人は、ナマケモノを抱っこしたりして、のほほんとした印象のおじさんだ。「がんばらない」の提唱からも分かるが、確信的にそういう印象を与えているのだ。地球環境に関しては誰よりも危機感を抱いているはずなのに、いたずらに危機感を煽るようなことはしない。まずは自分たちが楽しまなければ、とうのが大前提にあるからだ。ここが大事なところで、実はとても本質的なことだと思う。

スロー・ライフというのは走り続けていると見逃してしまうような、些細なことなもしれないが生活の中のひとつひとつの小さな喜びを楽しむということにこそ、本質がある。他愛も無いことに思えるかもしれないが、ここにこそ価値観の大きな転換が隠されている。経済最優先で当たり前のように一律に沁み込んだ“幸福のイメージ”からちょっと目を離してみる。そうすると意外にもたくさん身の回りには楽しいことがあることに気付くはずだ。そしてそれは一律で測れるものではなく、個人個人の感性に委ねられるものであるはず。それは多様性を知り認める合うことにも繋がる。価値観にしろ常識にしろ、決まった正解があると思い込むことは、「〜するのが当たり前」となり「〜しなければならない」ことになる。他者に対しては排他性となる。義務感でするエコに発展性は無い。ぼくたち自身が喜びを感じながら、それが日常となり実生活に根付いていくことが、なにより重要なことだと思う。それは各々が考え、感じるものだと思う。

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辻信一 / スロー・イズ・ビューティフル

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山ちゃま
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  • 商品名: スロー・イズ・ビューティフル―遅さとしての文化
  • 価格: ¥1,890
  • 著者: 辻 信一
  • 出版社: 平凡社
  • 発売日: 2001-09
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  • 2008/06/10登録
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コメント (2)

2008/06/10

四月の旅人 私は、人生観が変わりました。かつて「スローフード」「スローライフ」という言葉にまだ広告業界の手あかがついていなかった頃、この作品と島村菜津著『スローフードな人生!──イタリアの食卓から始まる』は間違いなくバイブルでした。辻さんとは一度、PARC自由学校でお話を聴く機会がありました。著作とは裏腹に超多忙な日々を送っておられるようで、その後お仕事をお願いした際にはまったくスケジュールが合いませんでした。

山ちゃま ぼくも人生観が変わったといっていいほどの衝撃を受けました。言葉の穏やかさ優しさとは裏腹に、多くの示唆に満ちた本だと思います。辻さんはいま最も気になる人のひとりです。

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