ステレオラブ / トランシェンド・ノイズ・バースツ・ウィズ・アナウンスメンツ
Stereolab / transient random noise bursts with announcements.
邦題『騒音的美学の終焉 』。ヴェルヴェッツの継承音楽、エクスペリメンタル・ポップス 、そしてポスト・ロック。彼らを指す言葉は様々あったが、時代とともに自分達の鳴らすテイストが少しづつ変化しているバンドだからこそ、どの呼び方もしっくりとくるのではないだろうか?『騒音的美学の終焉』はともすれば懐古主義ととられてもおかしくないような、彼らの過去へのリスペクトが詰まっている。しかし、彼らがここに残した音楽があるからこそ、この後、独自のテイストをさらに開拓し身に付けたと考える人間は僕も含め多いことだろう。
スレテオラブは90年にマッカーシーのメンバーだったティム・ゲイン(g&moog)とフランスで知り合ったレティシア・サディエール(vo,moog)の二人を中心に結成された。マッカーシーはメッセージ性の強いパンク・ロック・バンドだったが、ティムはその全てを大胆にも捨て去り、60年代のアナログ・シンセを主体にしたモンドに傾倒。過去のファンの批判意見をものともせずにシングルリリースを重ね、遂に93年にはアルバム『騒音的美学の終焉 』を完成させている。
このアルバムは、サウンドのそこかしこに実験性は見え隠れするものの、決してノイジーな感覚を受けることなく、むしろ耳心地良く響く音楽に仕上げられている。パンクが狭範囲の音楽とすれば、これはまさしくポップで一般的に広く聞かせることができる音楽と位置付けることもできるだろう。ティム・ゲインはその計算も含んだうえで、自分達の目指す音楽を見つけ出していたようだ。そう、柔らかい音楽の中に、ゆったりとした線をくゆらせ、世界に溶け込んでいける感覚。それをさらりと表現するのは、この音楽しかなかったのだといわんばかりである。
さて、アルバムを一聴して気が付くのは、ジョージ・ハリスン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのサウンドをサンプリングのように盛り込んでいるということ。これはレトロを尊重したというより、過去の音楽DNAを抽出して新たな生命を生み出そうとする実験のような気もする。もちろん過去の音楽を愛しているのはもちろんだが、現在の中に明確にその存在を示すということ、をきちんと仕上げている彼らの手腕には全く思わず唸ってしまった。
現在、彼らはシカゴ・アンダーグラウンドのバンドと認識されていたりもする(実はUKバンドなのだが)。それは、トータスのジョン・マッケンタイア、ジム・オルーク、ショーン・オハーガン(ほぼ準メンバー)などシーンを代表する人間が、近作では関わりを持っており、コラボレートを繰り返しているからだ。しかし、これは単に仲間意識で行っているというより、彼を入れるとどのような反応がおこるのか?という探究心から行動してるそうで、彼らは実験姿勢をさらにグローバルにしているということのようだ。ステレオラブは科学者のように、こんな実験と研究結果を発表し、シーンに影響を与え、活動を続けている。近作ではどうもこじんまりとしているという印象を受けがちだが、それは彼らが行き着いている次のステップへ、僕がなじめていないだけなのかもしれない。
- 価格: 1700円
- メーカー: イースト・ウェスト・ジャパン
- 年(代): 1993年
- 団体名: ステレオラブ
- 2002/07/30更新
- 2002/07/30登録
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