レイジ / ザ・ミッシング・リンク
Rage / The Missing Link
93年作品。ジャーマン・メタル界にあまたバンドは存在するが、レイジは異彩を放ちつづけるバンドとしてその中でも少し変わったポジションを得ている。メタルの伝統を踏襲しながらもそこには静かに対抗意識を燃やし、独自の路線を開拓している彼らの、内包した怒りの活動が生み出した傑作を今日はご紹介したい。
レイジは”ピーヴィー”・ワーグナー(vo&b)を中心に83年に結成された。NWOBHMに触発され、パワーメタルを標榜し、彼らは堅実にライブ活動を重ねた。それが結実し、86年にはメジャー・デビュー作『レイン・オブ・フィア』を発表、それ以降は、実にコンスタントに自身が描くメタル像を模索し続けている。だが、バンドが平坦に道を歩んだわけではない。彼らの突然の変化はメンバーの移動により劇的に起こっているのだ。その代表的な話は『サティス・ファクション・ギャラン・ティード』を経て3人となってしまったグループが、3ピース・バンドという連帯感に重きを置いたジャム・サウンドへと変貌したことにある。そして、89年には『シークレッツ・イン・ア・ウィアード・ワールド』というジャーマン・メタル史上名を残す傑作アルバムを発表し、疾走感と躍動感、そしてメランコリックな音楽を完全に自分のものにしていRageサウンドとも呼べる独自のスタイルを一旦完成させたのだ。
しかし、『ザ・ミッシング・リンク』はその完成形をさらに突き詰めた最高級の音楽アイデアの宝庫のようなアルバムであり世界レベルの傑作だと思う。マンニ(g)のギターリフの高揚に引っ張られたかのように、ピーヴィーは高音シャウトをし、摩訶不思議なほどベースを唸らせる。それを聴いたクリスは叩きつけるようなドラムでメロディを作るように呼応、ここに完璧なるトリオのサウンドをCDに刻み込んだ。”レフュージ”(#03)の完璧な音は一体なんだろう?ミクロン単位でも彼らは無駄なことを全く行っていないことを証明したお手本のようなナンバーじゃないか!”ミッシング・リンク ”(#11)から”ロウ・カレス”(#12)への絶妙の流れ、抜群で独創的なシンフォニー、スピードの中で涙が出そうになる。音ばかりでなく、このアルバムに込められた社会的なコンセプトテーマの歌詞には、現代社会が目を背けてしまう問題と、過去の遺産を嫌でも受け継がなければいけないのだからという概念が盛り込まれている。
実はこの『ザ・ミッシング・リンク』はその不動とも思えた3ピース、ピーヴィー、マンニ、クリスの最後のオリジナル・アルバムとなっており、この後、マンニが脱退、ギターを2人加入し、カルテットとしてバンドは活動することになり、ここで劇的にサウンドは変化した。アルバムの完成度が沸点に達してしまったからこそ、別の動きを見せ、さも計算ずくであったかのように彼らはとどまることなく進んでいったのだ。
現在は様式美に重要視を置いたビクターのギターを擁し、バンドは再び3ピースになった。だが、彼らは前とは全く違う独自の追求を繰り返している。過去を振り返ることは決してしない。過去から影響を多大に受けているバンドなのにオリジナリティに溢れているのは、彼らの音が常に最新のものであるからなのだろう。
つまりは「ミッシング・リンク」につながれているのだ。
「Rage / The Missing Link」を検索
このキーワードを共有する
-
メイン
つながりキーワード (1)
メロディックスピードメタル
- (薬田太津夫)
メロディックスピードメタル好きですか? 特に初期ハロウィン直系のものを好みます ラプソディーや、ラビリンスも・・・







Alice in Chains...
Devin Town...
Blind Guardian ...
U2 / WAR


