チャンディガールの石の庭園 by ネック・チャンド
ネック・チャンドというとある交通局員の男が、インドのチャンディガールに造りあげた庭。
ネックは仕事が終わると、自転車を40キロ走らせてヒマラヤの支脈に向かう。聖なる山で石を集めるのだ。石だけでなく、鉄くずや割れたタイルなどの廃材も使って、人形や動物、家、無数の彫刻を造り上げてしまった。34歳のころからたった一人で、水を引き、木を植え、こっそりと2ヘクタールにもおよぶ巨大な庭を造って14年たったころ、森林開拓していた市当局に発見される。公の土地を勝手に切り崩したネックは当然罰せられるはずだったが、そこにひろがるあまりにも壮大なスケールの造形物とその完成度の高さに市民が見方になり、ついに政府はそれを認めた。それだけでなく、政府はなんと従業員と給料を提供したという。そして庭は今もなお拡張を続け、現在訪れる見学者は絶えないという。
今やっているアールブリュット展を見て、一番心に響いたネック・チャンド。驚いたことにビデオの中の彼はいたって普通の木訥としたお父さんといった感じ。庭園を案内しながら人形の頭をなでている姿は、あまりにも自然体すぎて、それが逆に神様っぽい。揺るぎない理想と莫大なエナジー。思いついたらいてもたってもいられないその行動力。ワンダフルとかクレイジーとかドラマティックなんて安っぽい言葉では到底表現しきれぬ圧倒的な我が儘さかげん。すべてが上を向いていて、前を向いている。そう、アウトサイダー・アートというカテゴリーにくくられてしまっているけど、のわりには、内側に向いている感じがしない。外向いてる。なんだか解放されてる。やられた。がつんと来た。
同じく一人でこっそり石を積んでマイ城を造ったフランスシュバルの理想宮、シュバルやガウディに影響を受けてニキドサンファルが造ったイタリアのタロットガーデンに続き、またひとつ「いつか行きたいマジカルミステリーガーデン」が増えてしまったよ。
NEK CHAND FOUNDATION
アール・ブリュット/交差する魂(7/20まで汐留ミュージアムにて)
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