「稲妻」成瀬巳喜男@志を持って生きようとする末娘
「あらくれ」で成瀬・高峰コンビ映画に開眼した俺だが「娘・妻・母」を経て今日は先日BS2放映の「稲妻」1952年、BS2のお陰で成瀬映画の面白さを味わえる。
さて、「稲妻」の人物配置。主役(高峰秀子)は一男三女姉弟妹の末っ子三女であるが、この姉弟妹は皆父親が違う。高峰秀子はそんな複雑な家庭環境に反発を感じつつ育ち今は観光バスガイドとして勤めているが、長女が闇で儲けた35才男(小沢栄太郎。この作品当時は小沢栄)との縁談を持ちかけてくる。
秀子はこのイヤラシイ男が全く好きになれないのだが、そうこうしている内に縁談を勧めた長女がなんと、イヤラシ男と出来てしまう(店を持たしてくれたりして欲得色欲不倫である)。更には、夫を突然亡くした次女までがイヤラシ男と欲得色欲となってしまう。
そんな出来事に嫌気がさして秀子は黙って家を出て間借り独立生活に入るのだが、隣家に住んでいるのが親を亡くしても貧しく清く生きようとする兄妹(根上淳と香川京子)。秀子は知的で誠実な根上淳に慕情を抱く。
映画のラスト、母親(浦辺粂子)が秀子を訪ねてきて愚痴るのだが秀子はそんな母親を難詰する。「お母さんは何故私を生んだのよ。父親の違う子供を四人も生んで、お母さんがそんなだから子供もみんなそんな風になってしまって」と(セリフは記憶で書いているので不正確でスマヌ)。
母親は泣き崩れてしまい娘も泣き伏す。ともどもに泣きはらした母娘はやがて泣き止んで母は家に帰る。それを送る娘と母が外に出ると明るい月夜である。
以上のような人物配置、51年の「めし」に続いて林芙美子の原作を田中澄江脚色で映画化した名品である。
ところで、実は俺、人生方程式「人生=エゴ(損得、好き嫌い)+知(心、快楽)」を編み出しているのだが、この映画をこの方程式に照らし合わせて考えてみた。
つまり、長女・次女・イヤラシ男及び母親の住んでいる世界(庶民の大多数の世界である)は上の人生方程式のエゴ(損得、好き嫌い)の世界。生きる意味とかを考えてもしようがないと諦めて損得と好き嫌いだけ(欲得色欲)で暮らしているのである。
これに対して、高峰秀子は「人生、損得と好き嫌いだけでは無い筈だ」と何かを求めようとしているのである。上の方程式では知(心、快楽)にそれが対応すると思ったのだが、志(心、快楽)と変えた方がぴったりするということに今気づいた。利が無ければ人は動かぬ、理が無ければ人は納得せぬ、情が無ければ人はついて来ぬ、そして、志が無ければ己が立たぬのである。
すなわち、人生=エゴ(損得、好き嫌い)+志(心、快楽)。
人生、エゴだけでは流されてしまう。欲得色欲に溺れるだけである。志があるからこそほんとうの快楽を求められる、生きる意味も意欲もあるのである。
えっ、志とは何か?って。そんなことは自分で考えろ。おまえだけの人生なのだぞ、ねえそうだよね、高峰秀子さん。
※YouTubeにこの映画の冒頭シーン1:45(高峰秀子のバスガイド姿)があることを発見したのでリンクしておく。なぜか中国語字幕付きだけれど。
- 商品名: 稲妻
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- 監督: 成瀬巳喜男
- 出演: 高峰秀子, 三浦光子, 根上淳,
- 販売元: 角川映画
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- 2008/07/15更新
- 2008/07/08登録
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2008/07/08
Shimo. とはいえ、個人の「志」のほとんどは傍からは「エゴ」にしか見えない気もしますね。私はそれでいいと思っておりますが。
花野のK 母が「デコチャン」のファンで、ほとんどリアルタイムで見ていますが、その、奥深くに流れているものは解りませんでした。(当然ですよね)今、見直さねば、、、、と思いつつ、、、、。又、眠ってしまうかなあ、。(笑)
土曜日 私、最近、「我以外皆他人、人類皆兄弟」という言葉をひねり出しました。「我以外皆他人」が原則で、応用は「人類皆兄弟」ということで、ココロは「部屋は四角くしてから丸く掃除しよう」です。つまり、他人の考えることはみーんなエゴ、でも人類皆兄弟だから似たようなこと考える、だから(ひょっとしたら)心は通じ合うかもしれないね、と思っています。
土曜日 デコちゃん×成瀬巳喜男に開眼中です。いつかBS2が「めし」を放映してくれないかと思っています。貧しく無知だった懐かしい日本がそこにはあります。無知は今も変わらないかもしれませんが。
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