対決-巨匠たちの日本美術
くらべてみると みえてくる。
「くらべてみると みえてくる」――それが7月8日から東京国立博物館平成館で始まった「対決-巨匠たちの日本美術」(8月17日まで)の基本コンセプトだという。HPには、この狙いを次のようにいう。「日本美術の歴史に燦然と輝く傑作の数々は、時代を代表する絵師や仏師、陶工らが師匠や先達の作品に学び、時にはライバルとして競い合う中で生み出されてきました。優れた芸術家たちの作品を比較すると、興味深い対照の妙を見出すことができます」
その対決の一覧――
〇運慶 vs 快慶 〇雪舟 vs 雪村 〇永徳 vs 等伯 〇光悦 vs 長次郎 〇宗達 vs 光琳〇仁清 vs 乾山 〇円空 vs 木喰〇大雅 vs 蕪村 〇若冲 vs 蕭白 〇応挙 vs 芦雪 〇歌麿 vs 写楽 〇鉄斎 vs 大観
展示のトップは、鎌倉時代の「運慶vs快慶」。「同門から出て異なった作風を開拓した」といわれる。地蔵菩薩の坐像が運慶、立像が快慶の作。衣文の彫りの深浅をはじめ、その形の違いは、確かに比べて見て、瞭然ということにはなる。続く「雪舟vs雪村」は、それぞれの自画像が並ぶ。以降、「永徳vs等伯」では、天声人語(13日付)でも紹介されているが、永徳の「檜図屏風」と等伯の「松林図屏風」が「互いに目を合わさず、正面に群がる私たちに評価をゆだねる趣」。その濃淡と輪郭など、その違いには、作者が意識をしていた様を思わせる。「円空vs木喰」では、そのフォルムの鋭角・丸みというものの対比が鮮やかであった。また「若冲vs蕭白」では、伊藤若冲の鶏の造形に見える筆者の視線の強さ、技の精巧さに改めて感心する一方、曽我蕭白の「群仙図」では独特の形と色が、夢の中に出てきそうな一種グロテスクな感じが強烈だった……。
逐一を書くのは止めるが、私自身にとって楽しかったのは、俵屋宗達の一幅「狗子図」。もこもことした可愛い犬の子が描かれているだけなのだが、画家の優しい目線と心が滲み出てくるような温かさを感じた。
もう一つは、長沢芦雪筆の「虎図襖 」。解説によると「日本で最大の虎の絵(虎は3mを超える)といわれます。顔より大きな前足や、長すぎる尾が、今にも襖から飛び出してくるような躍動感を生み出しています。猫を思わせる顔の虎の襖絵の裏には、魚を狙い前足を伸ばす猫が描かれています」。襖絵の裏こそ見えないが、躍動してくるネコは巧まぬ愛らしささえ感じさせる。
期間中に何対かの作品の入れ替えがある。今回の期間には宗達と光琳の「風神雷神図屏風」が展示されていなかった(8月11日から17日まで展示)。
- 2008/07/13登録
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