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福井 晴敏『機動戦士ガンダム UC』

  • 福井 晴敏『機動戦士ガンダム UC』の画像

終戦のローレライ』『亡国のイージス』等で知られ、「ガンダムは義務教育だった」とのたまい、『∀ガンダム』のノベライズ(『月に繭 地には果』)も手掛けている小説家・福井晴敏による書き下ろしのガンダムの新シリーズで、月刊『ガンダム A』に連載されていました。キャラクター・デザインに安彦良和、メカニック・デザインにカトキハジメと最強のスタッフが集結しています。

作品の舞台は映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』後の時代となる UC0096 年。UC0000 年からの 100 年間という人類の宇宙での歴史の大きな区切り目前に控えた世界で人間はどう生きていくのか。人間・戦争・政治・経済・血統・信仰・信条といったガンダムには欠かすことのできない世界観を、宇宙世紀のヴォキャブラリーで描くこの作品は、今だからこそ描ける、福井晴敏だからこそ描ける、ガンダムを知っていれば知っているほど思うところが多く、同時に楽しめる作品になっていて、ある意味、ガンダムの新たなるバイブルと読んでも過言ではない、(オフィシャルにアナウンスされてるわけじゃないけど)ガンダム 30 周年に向けて新たに放たれる壮大な宇宙世紀絵巻です。


本作の特徴として感じるのは、端役のキャラクターの内面まで細かく描写することで物語に広がりと深みをもたらしながら、本質的には人間の物語として成立している点。まさに福井ワールドではありつつも、それは同時にガンダム=富野先生の演出の特徴でもあって、そういう意味ではガンダムだからこうしているのではなく、福井晴敏が小説家としてガンダム=富野先生から影響を受けた点といえるのかもしれません。ただ、小説としての出来映えは、(富野先生には失礼だけど)富野監督の一連の小説版と比べるとやっぱり全然クオリティが高くて、言ってみれば、「本当の小説家が手掛けたガンダム」という印象です。要所にガンダムのイディオムやお約束を散りばめながらも、をちょっとずつ明らかにしながら、いろいろな要素を徐々につなげつつ、エンターテインメントとして読ませる力はさすがです。

2009 年 8 月に同時発売された 910 巻で物語は遂に完結しました。長編の多い福井晴敏作品の中でも最長になったらしく、読み応えは十分です。ネタバレになるのは良くないと思うので、ストーリーに関して詳細は触れませんが、まさに壮大な宇宙世紀絵巻と呼ぶにふさわしい内容で、ガンダムの新たなるバイブルと言っても過言ではないと思います。


「ガンダム? モビルスーツ? いえいえ、本書は未来の若者たちのための『戦争と平和』ですよ」ー 宮部 みゆき

あらためて単行本の 1 巻を見直したら、帯にこんなコメントが書いてありました。まぁ、そう言いたくなる気持ちもわからないではありません。


個人的な感想等はこちらにレビューも書いてありますんで、もし興味があれば見てみて頂ければと思います。ただ、一応、ネタバレにならないように気を付けたつもりですが、あまり先入観を持たずに読みたい方は読んでからみてもらったほうがいいのかもしれない気もするので、ご注意を。

ちなみに、2010 年春にアニメ化されることが決定しました。現在、発表されている情報によると、1 話 50 分 x 全 6 話の OVA で、福井氏自身がプロデューサー的な役割を担い、DVD の発売だけでなく、配信やイベントでの上映、さらには海外展開もされる予定なんだとか。それはそれですごく楽しみではありますが、「アニメの原作小説」ではなく、純粋に「小説」として、小説ならではの楽しみ方ができる作品なので、小説だからって敬遠したり、「アニメを観ればいいや」なんてタカをくくってるとすごくもったいない気がします(このまま映像化するのはすごく難かしそうだし。読んでもらえば、その意味はわかってもらえると思います)。

機動戦士ガンダム UC オフィシャル・サイト

福井 晴敏『機動戦士ガンダム UC』

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  • 2009/09/09更新
  • 2008/07/18登録
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