だいとうりょうのりょうりにん
大統領の料理人
「私が望むシェフが見つかるまではステートディナー(国賓を招いた正式な晩餐会)は開かない」と宣言し,伝統的フランス料理にこだわる前任者の首を切って自分の意に沿うシェフを15カ月も探し続けたファーストレディ ヒラリー・クリントン。そのヒラリーの眼鏡にかなってホワイトハウス入りした著者の11年に及ぶ,ホワイトハウス・エグゼクティブ・シェフ時代の冒険をつづった書。
下世話な話は一切無く(著者自身が冒頭で『しない』と宣言している),クリントン時代の7年間と,ブッシュ時代の4年間に,求められた職務をどのように務めていったかを淡々と,時に誇らしげにつづっている。だがそうやって語られる職務の内容自体が,アメリカ政治の裏舞台を語る極上の逸話集になっているのが読み所。
クリントン,ブッシュの両方に仕えたとはいえ,印象に残る記述は「ホワイトハウスを現代アメリカ料理とアメリカ・ワインの見本市にする」というヒラリーの要望に従って,「ホテル出身の現代アメリカ料理シェフ」である著者の真骨頂が発揮されたクリントン時代に集中する。100人強が精一杯だった正式な晩餐会の規模を,最終的には700〜900人規模で開催することを可能にしたり,屋外で3500人規模のピクニック・パーティを開けるようにしたりと,とにかく派手な逸話がこれでもか,と出てくる。
こうした華やかな筆致が,ブッシュ時代に入ると一気にトーンダウンする。著者は決してそうは書かないが,人間としては愛すべきではあるが,どこか権力者としての資格に欠けたジョージ・ブッシュやバーバラ・ブッシュ夫人の人物像が自然と浮かび上がってくるのが面白い。
元々はTBSラジオのストリームで小西克哉が紹介していた本。たまたま寄った本屋にあったので買ってみたのだけど,これはとてもお買い得でした。
ヒラリーって骨の髄まで優秀な人なんだなー,と思った,いやほんと。
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- 商品名: 大統領の料理人
- 価格: ¥1,890
- 著者: ウォルター・シャイブ
- 出版社: ベストセラーズ
- 発売日: 2008-05-16
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- 2008/07/18更新
- 2008/07/18登録
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コメント (4)
2008/07/18
Kanna! わー!面白そうですね。シェフものの経験談を書いた本で目をつけていたものがあったのですが、他の人の意見をみたところ、どうやら下世話な内容を含んでいるらしいのでなんだかな、と思っていました。探してみたいと思います。余談ですが、大学でヒラリーさんを見たことがあるのですが、遠くからでもすごくオーラがあってピカピカしていました。
Rume エリゼ宮の食卓政治?の本が出ていたけど、クリントンに格下のワインを出したフランスへの返しワザ?が知りたいところです。私のような仏文というマイナー文学部で学ぶものは「文化で勝つということはどういうことか?それは、公式の晩餐はフランス料理でなければという意識を他の国にも持たせることである」ということを、最初に教えられるわけですが、そういう意味でも画期的ですね~。
2008/07/19
湘南小僧 面白そうな本ですね。ぜひ読んでみたいです。外交の場で「料理」がいかに利用されうるものなのか、「日本の天皇を迎えるまでの大仕事」あたりに特に興味あります。でもこの手の本、日本ではなかなか出すことが出来そうもない感じがしますねぇ・・・。蛇足ですが、権力者が自分の側近たちと料理をいかに楽しんだか、その一つの例としてこの本が面白かったです(笑)。
2008/07/22
Go涼 堅苦しく考えずにぜひお手にとってくださいな。あまり期待されると申し訳ないので。とはいえ,自分的には期待以上の面白さでした。「へぇそうなんだ」「やっぱりそうなんだ」みたいな部分がいっぱいです。例えば,フランス相手のディナーの時に,ヒラリーに「ヘタうつな」と直接言われたみたいな描写があります。ヒラリーが仏文やったかどうかは知らないけど,「文化で勝つ」の意味は身に染みて分かっていたんだろうなと思います(笑)
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