ナンバーガール / スクール・ガール・ディスト-ショナル・アディクト
Numbergirl / School Girl Distortional Addict
99年発表のメジャーデビューアルバム。聞いた瞬間、「やられた!」と僕が思った数少ない日本人アーティストの1組が、このナンバーガールだ。しかし、このアルバムは彼らの恐るべき才能の片鱗のみをかたどった、非常に計算されて作られたものであった、ということを僕は後に思い知らされる。
性的衝動に直結し、抑揚に任せきった向井秀徳(vo&g)のヴォーカルスタイルは、明らかにピクシーズやスマパンを彷彿させていた。日本語ではほぼ不可能だと思われていた感情の起伏を見事に表現し、なおかつグランジ世代をくぐり抜けた、アフターグランジのサウンドがここにはあったため、古臭い印象は全く受けなかった。”タッチ”(#01)から始まる延々と少女・俺・あいつに関する、ある種青臭い歌詞に若干の狂気を汲み取り、日本人特有の湿った内紛が、そこにはうっすらと感じられた。それに載る、曲のポップ加減が絶妙で、田淵ひさ子(g)のディスト-ションギター、アヒトイナザワ(Ds)のパワフルでいて多彩な手数のリズミカルドラム、中尾憲太郎28歳(b:彼は年齢を表記しながら活動をしている)の直球的なベースラインは、サウンドの下地を作るのには充分すぎる布陣だったといえるだろう。個人的には”転校生”(#09)のシュチュエーションと楽曲バランスが好きで、彼らの充実振りをさりげなく発揮した佳作だと思った。ともかく、淡い感覚の中に見るどうしようもない感情、みたいなものが、衝撃となってフィードバックしてくるまでに、それほどの時間を要することはなかったのだ。「彼らは日本にいる唯一のアフターグランジバンドだ。」僕は小躍りする思いと、羨ましい気持ちでいっぱいだった。
だが、このアルバムが非常に計算されていたというのは、彼らのこの後の活動にある。デイブ・フリッドマン・プロデュースのシングル『ディストラクション・ベイビー』で聞かせた硬質サウンドと、頑なな歌詞は、彼らのイメージにあった淡さを一瞬に吹き飛ばし、強靭な意志を見せつける、個性的なミュージシャンとしてのナンバーガールをアピールしていたのだ。しかも、このシングルは、『スクール・ガール~』の製作状況とほぼ同時期に発動をしていた。つまり、あのポップなアルバムは、メジャーにあわせた彼らのコンセプト・コマーシャル・アルバムで、本格的世界への進行形ナンバーガールは、他に存在していたことになる。その恐ろしさをはっきり証明したのはこの後の2枚のアルバムであり、最新作『NUM-HEABYMETALLIC』でのアグレッシブなサウンドは、世界的にみても独特な、ナンバーガールでしか奏でることのできないサウンドを構築している。
はじめから、現在の硬質サウンドを持ち出してきたら、少しリスナーは辟易したかもしれない。だが、彼らは徐々に内面をさらけ出し、リスナーを納得させる見せ方を知っていた。ジャケットやイメージの統一感覚、全てにおいて向井の頭脳には出し惜しみをしてるような、余裕が感じられる。
彼らの才能の手のひらで踊ってみるのも悪くない。妙な居心地のよさをこのバンドには感じてしまうのだ。
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コメント (8)
最新コメント5件
2002/08/08
多村栄輝 よく「黒田硫黄の漫画はナンバーガールをイメージさせる」と言われていますね。クイックジャパンでセットで特集されたり。
2002/11/03
ひげ先生 僕はプロモで田淵ひさ子嬢がギターを弾く姿のあまりのカッコ良さにやられました。(もちろん音もね)サーストンムーアを思いだしたりもして。
2002/11/04
less サーストンムーアのパロディっぽいフレーズに笑みがでてしまうのは僕だけじゃなかったんですね(笑い)
ひげ先生 例えば「透明少女」のイントロのギターはdaydream nationあたりのサーストンのギターとシンクロします。
less あ、確かに(笑い)。それにしても解散は少し残念ですね。まだまだ彼らの音を追いたかったです。
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