persona
27歳独身女性、文京区在住、ヨガと水泳に凝っている。
広告に携わっている方なら、「ペルソナ persona」という言葉を耳にしたことがあるだろう。ラテン語で「人格・仮面」を意味する。
商品やサービスの開発・販売にあたって、プロジェクト担当者たちはターゲットとなるユーザー像を想定している。性別や年齢層、収入など、概略プロフィールを決めるわけだ。個性に乏しいといわれてきた日本人だからこそ通用した手法だったが、最近ではそうもいかなくなってきたようだ。
インターネットの普及で、私たちは多くの情報にアクセスできるようになり、商品やサービスを購入する際の選択肢も飛躍的に多くなった。同時に「ここでなくては」という、それぞれのブランドに対するロイヤルティも相対的に低くなっている。
そのため、たとえばネット広告ではすでにe-コマースのような単なる商品の紹介に終始したものではなく、私たちの気持ちをかきたてる表現へと力点が移動している。商品やサービスを手にした後の生活の変化を具体的なシーンとして提示する。それによって、競合との差別化を図ろうとしている。
従来のセグメンテーションの手法では、ユーザーの望むライフスタイルまで想像するには限界があった。そこで、ユーザーへのインタビューや商品・サービスの利用状況などの観察を通して、彼らの性格や趣味、志向を含めた詳細なプロフィール──ペルソナを設定することになったわけだ。
名前や顔写真!まで具体的に決めていく。これにより、プロジェクトの関係者間でターゲットイメージにブレがなくなる。商品開発や販売、広告それぞれの過程で、スタッフは常にこのペルソナにたち返っていく。
カルビーは一昨年(2006年)の新商品「ジャガビー」で、この手法を用いた。お菓子のように単価が安く大量流通する商品では、ターゲットを明確にせず“最大公約数”を狙う商品開発が一般的だった。一方で、女性は20代になるとスナック菓子をあまり食べなくなるというデータもあった。
そこで、この層をメインターゲットにすえることで、すべての年齢層に受け入れられる商品の開発にとり組んだ。キーワードの「27歳独身女性、文京区在住、ヨガと水泳に凝っている。」は、そのときのペルソナの一部。パッケージは彼女を意識してデザインされ、ウェブのトップページも彼女の部屋をイメージしてつくられている。
こうして、「ジャガビー」は当初CVSのみの展開だったにもかかわらず、一部で売切れが出るほどの大ヒット商品となった。
これは皆さんの仕事上でも有効な手法だと思われるので、アップさせていただいた。情報やデータがそろったら、あとはスタッフ全員でペルソナをつくり上げていく──その過程がとても楽しい、ということも付記しておきたい。
写真は、「ジャガビー」の彼女が生まれた頃の大ヒットCM、宮崎美子さん=当時=の「いまの君はピカピカに光って♪」・・・懐。
- 2008/07/27登録
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