セザール・サンパイオ『サンパイオ ー 勝者の証 ー』
フランス・ワールド・カップのオープニング・ゴールを決めたことで知られる元ブラジル代表の MF で、横浜フリューゲルス・柏レイソル・サンフレッチェ広島でプレーしていたことで日本でもお馴染みのセザール・サンパイオの、おそらく日本でだけ出版されている自伝的な著書。幼少期から現役引退まで、彼の歩んできた道のりが、彼自身の言葉で綴られています。
現役引退直後の 2004 年に出版されたんだけど、出版当初にも、どこの書店でもアマゾンとかでも見かけなくて、一体どこで売ってたのかナゾの一冊でした(日本での最後の在籍クラブとなったサンフレッチェのホーム、広島では店頭にも結構並んでたらしいですが。広島では出版記念パーティや店頭サイン会も行われたらしいので)。アマゾン等のオンライン書店でも見つからず、直接出版社に連絡して購入しました(出版社自体は東京の出版社でしたが、聞いたことのない会社でした)。
サンパイオと言えば、いつも笑顔を絶やさずに、TV カメラを向けられると「イッパイオ、ニパイオ、サンパイオ」とか言っちゃうオチャメな面を持ち、いつも笑顔を絶やさないブラジル人プレーヤーという印象だったサンパイオですが、ここでは決して楽ではなかった幼少期についても語られていて、当然、サッカーにかける気持ちはとても強く、その気持ちはプロになってからも変わってなくて、どんな勝負でも出し惜しみせず常に勝利にこだわって 100% のプレーをする面でもブラジル人らしいプレーヤーでした。単に「助っ人」だけではなく、「伝道師」や「ピッチ上のコーチ(監督)」の役割も求められていた設立当時の J リーグを代表する、プレーの面でもメンタルの面でも超一流だったと言えます。
ブラジルのチャンピオン・チームの中心メンバーであり、現役ブラジル代表ということでジーニョとともに鳴り物入りで来日したサンパイオですが、本人はワールド・カップのセレソンに選ばれたの J リーグでプレーしたおかげだと言って憚らず(もともとは守備を持ち味とする MF だったにも関わらず、日本人がブラジル人に対して持つ「上手い(はず)」という先入観のおかげで、攻撃面も頑張らざるを得なくなり、結果的に攻撃的なプレーが良くなり、セレソンに選ばれるチャンスが生まれたとのこと)、そういう意味では、J リーグに対して大きく貢献した選手のひとりであり、同時に、J リーグが生んだ最大の功績のひとつでもあると言えるかもしれません。
日本向けに著されただけあって日本でのエピソードも多く、特に天皇杯優勝を最後にチームが消滅した横浜フリューゲルスでのエピソードや、元セレソンでありながらあえて挑んだサンフレッチェでの J1 昇格争いなど、なかなかグッとくるし、劇的な闘いを通じて彼が感じた日本の選手の問題点や課題などはキチンと真摯にキチンと耳を傾けなくちゃもったない。
決してテクニシャンでもないし、派手な選手ではないけれど、(日本のサッカー界で誤用されてる意味ではなく)本当の意味での「ボランチ」と呼べるプレーヤーのひとりであり、単にビジネスを超えたものを日本サッカー界にもたらしてくれたサンパイオ。個人的には、サッカーの奥深さと面白さを教えてくれた選手でした。また、近いうちに、別のカタチで日本のサッカー界に戻ってくることを願いつつ…。
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