半陰陽その後、そして今後
半陰陽――いわゆる両性具有状態を指す俗語である。
だが、その程度のことなら誰でもが知っていても、
陰陽思想とも無関係であるはずがない、その語が、
この国でいつどのようにして人口に膾炙するように
なったのかを説明する頁には、なかなか出会えない。
それはさておき(とKW的な扱いはもうお終いだ)、
わが家の半陰陽猫の近況報告へと、話題が転じる。
「そら」という名のそいつは、画像の向かって左側。
瀕死の状態で息子に拾われた去年の8月3日の時点で、
生後1か月と推定されるのに体重わずか400g足らず
だったらしいのだが――「らしい」と書くのは当時、
私はアメリカ在住でただスカイプで報告を伝え聞く
ばかりだったからだ――、それから数えて9か月目の
この5月には5kgを超え、わが家の4匹の猫のなかで
最重量に地位に一気に躍り出た。「そら」にまるで
母猫のようにかまってくれていた、オスで8歳になる
「にご」(画像右)のほうが、じっさい子猫のよう。
ところでこの体躯、体重の増え方ひとつをとっても、
わが家の半陰陽のオスっぽさは容易に直観されよう。
じっさいソレがあからさまに映るカメラアングルは
避けたのだけど、その股間には鈴のように膨らんだ
陰嚢が二つ実っている。ばかりか5kgを超えた月には、
「彼」の発情もまた、たしかに観察されたのである。
結論から先に書くと、しかしそのときは1週間ほどで
発情は収まったので、去勢手術を受けさせるまでに
至らなかった。
ちなみに彼の陰嚢の隣には、通常あるはずのペニスは
当然ない。そればかりか、あるとき尿道炎の兆候が
見られたので導尿による検査を受けた際、陰嚢以外は
形状と機能の両面でメスの性器と違いがないことが、
獣医によって確認された。形状からして、体内には
卵巣もあるだろうという見立てだが、すでに半年前
予見されていたこの件はさておき、通常のオスなら、
去勢手術は二つの陰嚢間の共通の付根部分を切開し、
この一穴から二つの精巣を抜き取るらしいのだが、
「そら」の場合は、そこがヴァギナに当たっていて
切開も縫合もできないので、手術するなら、陰嚢を
それぞれ切開し、別々に精巣を取出す(そして別々に
縫合する)ことになる、との見解がつけ加えられた。
この見解自体はしかし去勢を逡巡させるものではない。
問題は、その選択を踏みとどまった――迷ってる間に
発情は収まったのだとはいえ――その飼い主家族に、
私があるとき貴種に擬えた半陰陽という性のかたちを
保存したいという勝手な願望はなかったかという点だ。
愛猫家なら皆、知るとおり、去勢/避妊は必ずしも、
不幸な子猫そして飼い主を増やさないためだけでなく、
ホルモンの分泌するまま性行動をとることができない
成猫そのものの健康の観点からも推奨されるのである。
去勢の逡巡はしたがって、わが半陰陽猫の健康を減じる
可能性だって、ある。ならば次に、そして前回よりも
激しいかたちで発情が起こったら、たとえ手術費用が
通常のオス猫より高くついたとしても――二つの陰嚢
それぞれをの獣医による告知にもかかるニュアンスが
含まれる――、迷う理由は、ないといわねばならない。
[投稿後、微細な文面の修正をおこなった。]
- 2008/08/12登録
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