新訳・森の生活―ウォールデン (1981年)
60年代の音楽やヒッピー文化の中から
頭だけどこの本を知った20代。
もちろん当時から有名な本だった。
『森の生活』を読むことが何かの反抗
のように思えた。時は90年代前半。
でも、衣食住も学費さえも自分で導き
出すことを知らないお嬢さんは、
反抗的な態度と頭の中でしかこの本を
知らず、読めなかった。
まったくコミットメントできなかった
その本質に。
2008年夏の終り、昨夜シーツの上に
持っていく一冊の本を探しているとき
偶然に再びこの本を見つけた。
高等教育を受け(ソローは当時のハー
ヴァード大学出身)た若者が繊細な
心で生きてゆく。今の私たちはある時点
まで「自分は成功者だ」と感じないと
(それが現実ではないとしても)生きる
目的をなくしてしまう。
それは、若者が生きるために編み出した
悲しい不感症とも言えなくもない。
事実、わたしがそうだ。
そうだった。そうしないと、どんな価値
で生きていけばいいのか途端に道を
見失う。見失わないために、必死に
不感症になり続けるしかない。
そうなのかい?
ソローは、もう150年以上前にその問い
に答えたんだ。
機械産業と資本主義によるアメリカ黎明期
の姿を仔細に知る上でも興味深い本だ。
それは、先進国を目指したどの国の黎明期
にも当てはまるように思える。
そして、あの当時世界に向けて爆発的に
宣教師を送り出していたアメリカのキリスト
教社会の背景を知ることもできる。
巨大になった都市と資本主義の中で生きる
ために、「大丈夫、僕らは成功しているの
さ。」と自らを不安から救い出すために
絶えず神経症のように繰り返さないといけ
ないのかい。
今、『森の生活』をどれだけの人が読むだ
ろう。もう、読まないのではないか。
そう思った。ソローの世界は美しいけれど
わたしたちはもう、少し遅すぎたかも知れ
ない。けれどもなお、僅かの期待として
ソローが語りかける言葉を読む。
けれどもいつしか、いや日々ごとにソロー
の言葉は強くはっきりと刻まれるような気が
してならない。その時、はじめて私たちの
不安は消えていくのかもしれない。
明日もまた読もうと思う。
- 商品名: 新訳・森の生活―ウォールデン (1981年)
- 価格: ¥2
- 著者: ヘンリー・D.ソロー
- 出版社: JICC出版局
- 発売日: 1981-02
-
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- 2008/08/21登録
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