Michel Gondry × Leos Carax × Pong Jun-Ho
TOKYO!
「エターナル・サンシャイン」のミシェル・ゴンドリー=以下敬称略=、「ポンヌフの恋人」のレオス・カラックス、「殺人の追憶」のポン・ジュノという3監督のコラボで、今年のカンヌでも話題になった「TOKYO!」が世界に先がけて、この8月中旬から日本でのみ公開されている。
歌舞伎町でのロケを予定していたというリドリー・スコットの「ブラックレイン」(1989年公開)あたりまで、外国人監督の描く東京(この作品では大阪だが)はひどいものだった。製鉄所の通勤風景はもちろんだが、高倉健演じる松本正博警部補が住むアパートの居間にあった、違い棚の上の盆栽も笑った。
その意味では、ヴィム・ヴェンダースが「パリ、テキサス」のクランクイン前の85年に、小津安二郎へのオマージュとして製作した「東京画」(85年)にはドキュメンタリーとはいえ、少しだけ懐かしい身近な風景があった。
「TOKYO!」の一編──ゴンドリーの「インテリア・デザイン」は全編テストなし、出演者のインプロヴィゼーションに任せて撮影されたという。豪雨と喧噪の街の片隅に建つワンルームマンションを舞台に、“無国籍都市”TOKYOを描き出す。主演は藤谷文子、加瀬亮。
マンホールから出現する謎の怪人(ドゥニ・ラヴァン)をメタファーとして、暴発することでしかぬぐい去れない疎外感を描いたカラックスの「メルド」にしろ、10年間引きこもりつづけている男(香川照之)が、ピザ宅配で訪れた少女(蒼井優)によって揺さぶられる(シェイキング)ポン監督の「シェイキング東京」にしろ、フジヤマ&ゲイシャなど入り込む場もない。
音楽は、HASYMO。
3人の外国人監督が描いたTOKYOはきわめてリアルだが、だからといってそれが本来の東京とは限らない。内田百閒が東京の変貌を嘆き、それを「ぽっと出の田舎者」に帰したのは昭和の10年代のことだったと記憶している。
- 2008/08/23登録
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