おかにあがったぐんかん
陸に上がった軍艦
軍隊は殺人機械である。そうである以上、軍隊において新兵の訓練はいかに効率的に殺人できるかに的を絞って行われなければならない。
ところが、大日本帝国軍隊はそうではなかった。訓練に名を借りてのいじめ、私的制裁が横行していた。さらに、戦争末期には「敵に夜襲を気づかれないための靴を後ろ向きに履いての斬り込み訓練」などという愚劣な訓練まで施していた。
要するに、軍隊は社会の鏡である。当時の日本社会の鏡が大日本帝国軍隊なのである。勝つための合理的な努力よりも、精神論や権威主義(形式主義)が称揚される社会、あ、今もそうだっけ。
1944年の春、シナリオライターだった32歳の新藤のもとに召集令状が届く。新藤は宝塚の海軍航空隊に配属されるが、すでにそこには軍艦はなく、終戦まで新藤は海に出ることもなかった。一人前の社会人として暮してきた者たちに18歳の兵長がビンタをくらわせ、想像を絶するような暴力が日常的に続く。それが軍隊の世界だった。殴られ続ける毎日。そしてようやく8月15日がやってきた。
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