ノグチリカ 「ミズヲツカム」テン
野口里佳 「水をつかむ」展
2002年の7月から8月の頭にかけて、東京では二つの展覧会で野口里佳の写真を見ることができました。
東京国立近代美術館「写真の現在 2 サイト - 場所と光景」展(http://www.momat.go.jp/...)での、アムステルダム郊外の造成中の埋立地の風景で構成される旧作「新しい島」シリーズ(http://www.parco-art.com/s_pg/2001/... の左3枚がそれ)。
そして銀座のギャラリー小柳での個展「水をつかむ」での、新作「水をつかむ」「中心に向かう」。終わってしまった展覧会ですが、ギャラリーのウェブもないようなので、この「水をつかむ」展についてメモを残しておきます。
◆「水をつかむ」は、縦横比=1:2.5ぐらいありそうな横に長ーくでかい写真(横=1m6,70cmはあった)と、縦横比=4:3ぐらいの写真と、大きさの違う数枚の写真で構成。
画面下の方に、水(海)の広がり。
上からヌーっと巨大な「水をつかむ」もの(シャベルのような機械)がつるされるように位置を占めている。砂や泥をつかむのものなのか(水はつかめない、あいだから零れ落ちる)。画面全体がやわらかい金色のような光につつまれていた。
「水(海)の広がり」。
何か港を表すような、コンクリートで固められた岸壁のようなものが写りこんでいた写真があった記憶からそう書いたのだけど、あまりにも水面が静か過ぎる気がしてくる。
大きな水溜り、湖のような感じもしてくる。
どちらにせよ、そこには人工的な接面(もの)と水の広がりがあった。
◆彼女の写真集『鳥を見る』に収められた「潜る人」シリーズの中の一枚の写真を思い出す。「ダイビングの練習用プールで撮影された」という写真群の中の、港のような人工的な構造物に囲まれた水溜りの、その中へとこちらに背を向けて歩んでいく潜水服の男が写りこんだ一枚(http://www.canon.co.jp/cast/ncp/...)。この写真にもやわらかな光が広がっている。
「水をつかむ」には人間の姿はない。
◆ギャラリーには、奥に小さな部屋があって、机があったり半分事務所のような感じになっている、その部屋の壁には、「中心に向かう」と題されていくつかの写真がかかっていた。
「水をつかむ」の横長の作品と同じかたちだが、こちらはとても小さい。「鳥を見る」(http://www.damelioterras.com/... の「seeing birds」)を思い起こさせる小さな砂漠のような広がりに、向こうの方の緑という風景だが、女の人が逆立ちをしている。四作品ぐらいあったと思うが、一つは逆立ちしておらず、太極拳のような構えをしていた。逆立ちしている一つは、はじめダチョウのような鳥が写りこんでいるように見えた。何回か他の写真とのシーケンスの中で見ていて人と気づく。他のものも、木にむかって逆立ちして木のようになっているもの。それは、下半身(おしりから下が)べろんと出ていた。
野口さんの写真に写りこんでいる人間たちは、今まで大地に向かってスーッと(だがポツンと小さく)立つ男の人が多かった。それが「中心に向かう」では女の人で、それもポーズをとっている(逆立ち、おしりべろん)。といっても画面の中では小さいことは変わりなく、それは、ある時は木にみたり鳥に見えたりするような人。
中心に向かうというのは何だろう。確か、木だとか人だとかが、写真の中心に写っていた気はするけれど。
「水をつかむ」と「中心に向かう」のどちらが後に撮られたものかはわからないのだけれど、彼女が今何を撮っていて、次に何を見せてくれるのかとても気になります。
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