ジョンソン大統領/ヴェトナム戦争の真実
ムービープラスが「映画の中の大統領」シリーズで放映していたが、拾い物であった。「アメリカ合衆国第36代大統領ジョンソンの、あまり知られていないプライベートな姿を通じて、20世紀戦史にその名を残す、ヴェトナム戦争の真実に迫る歴史ドラマ。」と宣伝文句にあるが、「偉大な社会」とベトナム戦争の二正面作戦を迫られたジョンソン大統領の姿を描いて(どこまで真実かどうかは判断しかねるが)面白かった。スタッフ・キャストはこちらを参照。
ジョンソン大統領が進めた「偉大な社会」の柱は①公民権法・投票権法に見られる人種差別・投票権剥奪の禁止(こちらに詳しい)と②貧困対策→フードスタンプ制度(低所得者向けに行われている食料費補助対策。2000年代に入ると対象枠の拡大とともに所得格差が進行したこともあり、受給者層が拡大。2004年度に約2,200万人であった2007年度には約2,800万人へと拡大した。)、メディ・ケア制度など現在でも格差社会アメリカ(貧困大国アメリカ)をかろうじて維持している重要なセーフティ・ネットである。
映画は、偉大な社会実現を公約して当選したヒューマニスト、ジョンソンが前任大統領ケネディの置き土産ベトナムの火種を消すべく北爆開始などベトナム戦争拡大の道を歩まざるを得なくなったジレンマを中心に描く。
また、国防長官マクナマラがベトナム戦争遂行可能性に懐疑的になり、北爆の停止と南ベトナムでの戦闘停止を提案するが、ジョンソン大統領に拒絶される経過もリアルに描いている。マクナマラの後任国防長官となったクラーク・クリフォードをドナルド・サザーランドが知的に好演しているのも印象的だった。
映画を見ながら(当然)イラク戦争とブッシュ、そして次期大統領に選出されるだろうオバマを思った(オバマさん、この映画を観てるかな)。なんだかんだ言いながらこうした政治的、ヒューマンドラマを商業映画として成立させるアメリカはたいしたものだ。ドルとアメリカは少々のことではくたばりはせず、金融危機を潜り抜けてしたたかに復活するような気がする。
ちなみに、監督は巨匠(と思う)ジョン・フランケンハイマー(「終身犯」「 五月の七日間」「大列車作戦」「ブラック・サンデー」を俺は観ている)。「終身犯」を観て「絶対無<私>は神の贈り物」などとアホを俺は書いているナア。
※写真はこの映画から、懊悩するマクナマラ国防長官
- 2008/11/03登録
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