ドクター・コーネル・ウェスト
Dr. Cornel West
オクラホマ州出身のエチオピア系アフロ・アメリカン哲学者 / 政治思想家 / 神学者 / 社会活動家 / アーティストで、プリンストン大学宗教学部兼アフロ・アメリカン研究センター教授。
LA での暴動の翌年の 1993 年に発表し、これまでに 50 万部以上のセールスを記録してベストセラーとなった "Race Matters"(単に「人種にまつわる問題」という意味と「人種こそが重要な問題だ」という意味のダブル・ミーニング)が 2008 年 10 月(つまり先月)、『人種の問題 - アメリカ民主主義の危機と再生』として原書の出版から 15 年(!)の時を経て初めて邦訳・発売され(店頭で知らずに見かけたら絶対スルーしちゃう自信満々な感じのスゴイ装丁デザインにビックリですが…)、それに先駆けて 5 月にはマーティン・ルーサー・キングの没後 40 周年記念企画のために初来日を果たし、東京での姜尚中氏との対談や講演をはじめ、大阪・広島・沖縄を訪れました。
これまでに 20 冊もの著作を発表していて、アメリカ社会に今なお根深く残る人種差別の問題を中心に、性、社会の格差、環境問題、信仰など、幅広い問題について、大学や学問の世界だけでなく、TV などでも活躍する現代アメリカを代表するアフロ・アメリカンのオピニオン・リーダーのひとりです。
ここまでがザックリとした概要なんですが、実は特に詳しく知ってるってわけじゃなくて、顔と名前は見たことあったけど「スパイク・リーが歳をとったらこんな風になるのかなぁ」くらいな印象だったんですが、最近 "Democracy Now!" に出演したのを見て、俄然、興味が出てきていろいろ調べてみた、という感じです(こちらで動画とテキストが見れます)。ちょうど、新しい著作 "Hope on a Tightrope: Words and Wisdom" が発売されるらしいんですが、先日のバラク・オバマの大統領選挙での勝利とシカゴでの演説を受けての出演ということで、当然、オバマ政権について語ってるんですが、それがすごく面白かったのです。
オバマとは親しいらしく、もちろんオバマ支持ではあるんだけど、だからこそ、これからの動き、特にスタッフ選びに関しては注意して見ていく必要がある、プレッシャーもかけていく、知り合いだからって容赦しないぜ、というスタンス。曰く、オバマには「進歩的なリンカーン、フレデリック・ダグラスになって欲しい」と。
話の内容ももちろん面白いし、いろいろと考えさせられるんですが、一番魅かれたのは話し方(ぜひ、映像を観て欲しいです。けっこう難しい単語が出てくるし、聞き取りにくかったりするとは思うんですが、テキストを目で追いながらなら何とかなると思うんで)。リズムといい、言葉遣いといい、表情といい、メチャメチャファンキー。ムヤミにポジティヴなわけじゃなくて、むしろ辛辣だったりもするんだけど、どっかチャーミングで、愛情が感じられて。普通に「スライ・ストーンが言ってた 'everyday people' だよ」なんて言ったりとか、アフロ・アメリカンのこと(及び、類似の状況にある人のこと)を 'blues people' なんて呼んだりして。
アフロ・アメリカンの牧師の演説とか詩人のポエトリー・リーディングとかは、一般的な意味での「演説」や「朗読」にはない、独特のリズム感とグルーヴがあることは知ってたし、スゴイ好きなんでいろいろチェックはしてるんだけど、そんな中でもこの人のグルーヴはヤバイな、まるで MC / ラッパーじゃん、って思ったら、それもそのはず、CD もリリースしてました。しかも、去年リリースされた最新作 "Never Forget: A Journey of Revelations"(iTunes Store でも売ってます)にはタリブ・クウェリ(トラックのタイトルは "Bushonomics"!)やジル・スコット、KRS-1、プリンスなんかが参加してて、レーベルは Hidden Beach Recordings だっていうんだからかなり本格的だし、思いっ切りツボでした。今までチェックしてなかったのが不思議なくらい。"Yes We Can" なんかでも感じたけど、こういう感覚というか、政治的・社会的なメッセージとクリエイティヴが有機的に結びついてる感じって日本には欠けてるし、すごく羨ましく思いつつ、すごくインスピレーションを受けたりします。
そんなわけで、慌てて動画(PBS の "Tavis Smiley" に出演したり、HBO のビル・マーの "Real Time" に モス・デフと出演したりしてます)やらオーディオやらインタビューやらをチェックしたんですが、知れば知るほどとても魅力的。5 月の来日も知ってれば行きたかったし、"Never Forget: A Journey of Revelations" も去年のアルバムだし、そういう意味では今までチェックしてなかったのが悔やまれるんだけど、まぁ、思い立ったら吉日ってことで、これをキッカケに、とりあえず、まずは『人種の問題 - アメリカ民主主義の危機と再生』を読んでみつつ、これからはチェックを怠らないようにしたいな、と。
オフィシャル・サイトのトップ・ページには、
You can't lead the people if you don't love the people. You can't save the people if you don't serve the people.
というメッセージが(写真のモノです)。いい言葉です。
最後にもうひとつ、名言を。
Justice is what love looks like in public. - Cornel West
*** 以下、2009/2/17 追記 ***
上で触れた去年の 11/18 の Democracy Now! の字幕版の動画が Democracy Now! の日本版サイトにアップされてます。OA 上の時間的な制約と、字幕っていう技術的な制約のせいか、編集でちょっと短くなっちゃってるのと、ちょっと端折って訳されちゃってるところがあるのが残念ではありますが、それでもファンキーな魅力は伝わるんじゃないかな、と思います。
- 2009/02/17更新
- 2008/11/21登録
- 2942クリック
「Dr. Cornel West」を検索
このキーワードを共有する
-
メイン
コメント (0)
まだコメントされていません。
つながりキーワード (6)
人生に必要な哲学50 (知ってる?シリーズ)
- (ネコまいける)
NHK教育TVで放映された「ハーバード白熱教室」の影響だと思うのだが、うちのカミサンが、ボクの書架から、マイケル・サンデル著の『これからの「正義」の話をしよう』を持ち出し...
アメリカの "TIME" 誌恒例の 'Person of the Year 2008' です。もちろん、バラク・オバマです。 詳しくはレビューをこちらに書いてありますが...
コーネル・ウェスト『人種の問題』
- (TR2HG v(^_-))
前にキーワード登録したプリンストン大学宗教学部教授、ドクター・コーネル・ウェストが LA 暴動の翌年の 1993 年に発表し、50 万部を超えるセールスを記録しているとい...
前にキーワード登録したプリンストン大学宗教学部教授、ドクター・コーネル・ウェストのところでも触れた、 2007 年に Hidden Beach Recordings から...
''YES WE CAN''
- (TR2HG v(^_-))
ブラック・アイド・ピーズ(BLACK EYED PEAS)のウィル・アイ・アム(will.i.am)がバラク・オバマの大統領選挙をサポートするために作った曲。しかも、ただ...
Barack Obama: Speech in Chicago on November 4th, 2008
- (TR2HG v(^_-))
第 44 代アメリカ大統領を決める大統領選挙で勝利したバラク・オバマが 2008 年 11 月 4 日にシカゴで行った約 17 分の「勝利演説」です。オフィシャル・サイト...
トラックバック (1)
オルタナティブ・メディアをチェックしよう!〜Democracy Now!
- マンツーマン英会話プライベートレッスン・英語個人レッスン・ETC英会話は初歩からビジネス英語まで | Tracked: 11.7.8 1:02 am
ETCマンツーマン英会話のマイク先生(新小岩)から封書が届きました。そこには、福島第一原子力発電所の事故のニュースを報じる、米国のあるオルタナティブ・メディア...
- トラックバックURL
- http://www.kanshin.com/tb/keyword-1630918






Barack Oba...
''YES WE C...
コーネル・ウェスト『...


