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タマゴノフシギバナシ〜セナノリンカク〜

玉子の不思議話その5〜人間の輪郭〜

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モータースポーツには特別詳しい訳ではありませんでしたが、
レーサー・高橋国光さんの取材で初めて訪れた富士スピードウェイでF3000(当時)のレースを見、
エキゾーストノートにやられて以来、
当時のご多分に漏れずF1ファン(もっぱらTV観戦のみ)だった時期がありました。

ご贔屓はもちろんセナ。
彼のストイックなまでの、レースにかける姿勢、
まさに生と死の崖っぷちギリギリを疾走している様な生き様に
この上なく魅かれました。

当時は、
1本の仕事にケリがつくと
身も心も疲れ果てていて、
1週間程家に引き籠り人とも会わず電話すらほとんどしない「リハビリ」と呼ばれる期間を
過ごす…様な仕事の仕方をしていました。
1994年5月1日も「リハビリ」中だったのでテレビでサンマリノGPを観ていました。
予選から気になっていたのはセナの元気のなさ。
あの印象的な瞳の奥に燃えて見える戦意が
まったく感じられませんでした。
ヨーロッパラウンドの最初に開催されるレースであるため、
その年の新車を投入して来るチームが多いせいなんでしょうか、
それとも、従前より安全性が問題視されていたコースのせいなんでしょうか、
予選でバリチェロがクラッシュして骨折、ラッツェンバーガーはクラッシュ後に死亡。
(あとから知ったことですが、この年のサンマリノGPは、
事故5回、死者2名、負傷者13名(うち6名が病院へ搬送)という、
まるで死神に取り憑かれた様なレースだったそうです)
とても嫌な波乱を予感させる空気の中で本戦の中継は始まったのでした。

本戦が始まる前のサブ出しVTRはやはり、前日前々日からのクラッシュの時のセナの反応、
事故が起こると必ずコースに出向き原因を分析するセナの、
それはもう痛々しい位の、動揺を隠そうともしていない姿が中心でした。
何かもう、自分ではどうしようもないものに巻き込まれるのが解っていて
でもそれから逃れることは出来なくて必死に耐えている…
そんな、かつて見たことのないセナの姿なのでした。


「リハビリ」中の玉子にとっての一番の贅沢は、いつでも好きな時に眠れて、
誰にも起こされないこと。
F1番組も当時は長かったですから、最初から観ていてもところどころで
うつらうつらしながら、でもTVから「セナが…」と聴こえて来ると不思議と目は覚め、
彼の姿を目で追っている…そんな状態。
ただそれにしても、画面に映るセナが霞でもかかっているみたいにしか見えなくて、
画面の色も全体が白っぽくて、玉子は何度も目をゴシゴシと擦っていました。
それでもセナの姿はハッキリ見える様にはならなかったのです。
例えて言うならば、セナという人間と周囲のものとの境界線がボヤけているというか、
セナのヒトガタだけが透けているというか…


そして起こったのがあのタンブレロコーナーでの激突事故。
セナのオンボード映像はコーナーにさしかかってすぐ画像が乱れ、
中継カメラに切り替わったと思ったら、すでにクラッシュした後。
アッと声を上げる間もありませんでした。


その直後からテレビではセナ追悼映像のタレ流しが始まった訳ですが、
そのどれを観てもセナが透けて見えることはありませんでした。
それなのに、それからさらに数日後、
また同じ様に輪郭がボヤけて見えた人が急逝するという出来事に遭遇してしまいました。
そんな体験はあとにも先にも、その2回っきりでしたが、
人間というのは時に、普段見えていても認識出来ないものを、認識してしまったりするのかもしれないなと…









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おでんの玉子画像 投稿者:
おでんの玉子
  • 2009/02/03更新
  • 2009/02/03登録
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