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ビジネスケンビキョウ

ビジネス顕微鏡

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日立が発表した破壊的技術の一つ。 今まで、オフィスの運営を担当する者の夢の一つだった、オフィス内コミュニケーションの視覚化を行える画期的な道具である。 年季の入った管理職にしか期待出来なかった微かな部門間コミュニケーションの齟齬・組織図に明文化されない非公式な情報回路の存在を、顕かにする、という意味では、まさに「顕微鏡」だと言えよう。

具体的には、オフィスのメンバーに「赤外線センサ、三軸加速度センサ、マイクセンサの各センサと、無線通信デバイスを内蔵した名札型のセンサネット端末」を首から下げて貰い、そこから収集されるデータをネットワーク経由でサーバに蓄積、それを独自の解析システムで様々な関係図等に表すことが出来る。 部門内、部門間のコミュニケーションの状況など、一発で分析可能、のようである。

オフィス内で仕事をする時、自分だけで完結する業務だけを行っている者は少ない。 同僚、上司、部下、他部署のメンバー、外部のスタッフ、様々な人と接触しながら仕事を進めるのが今時は一般的だろう。 勿論、コンピュータや電話で連絡を済ますこともあるが、オフィス空間に集まって仕事をする、ことの意味合いは、「直接面談」の絶大なる効果を最大限に活かす為の筈だ。 その意味で、このツールは、東京等大都市圏に莫大なオフィス投資を行って本社を構えていながらホワイトカラー生産性の低迷に悩む多くの組織にとって、大きな意味を持ち得ると思う。

残念ながら、このツールが組織体にもたらすであろう凄まじいインパクトについては、余り理解されていないような気がする。 いつも楽しく読んでいる日経BP社のイエイリ建設ITラボの記事でも、比較的瑣末な事項に関心が行ってしまっているような気がする。 尤も、このサイトはハードの面からのアプローチが主で、経営学的・組織論的な話を期待する方が間違えなのかも知れないが。

日立の製品開発傾向として、時々凄い発想のブレークスルーが出るが、その売り込み方が良く分からず、結局ビジネスとしては成功出来ない、ということが時々あるように思う。 この「ビジネス顕微鏡」は、ハード(首から掛けるセンサネット端末)も凄いが、本当の凄さは物理的に目に見えない「オフィス内の非公式情報ネットワークの分析」にあると思われるので、その辺りを、どうアピールし、理解して貰えるか、が成功への鍵となるのではないかと思う。

中間管理職にとって、このシステムは興味深いと同時に怖い存在だろう。 自分のコミュニケーションパターンが白日の下に晒され、そればかりか自分の部署のメンバーがどのようなネットワークを社内的に築いているのかも見えてしまう。 昨日(2008/12/05)の日立プライベートセミナーで、コクヨオフィスサービスの黒田専務が、ビジネス顕微鏡の分析結果を管理職達に見せた時の、各自の衝撃の度合いを語っていたが、かなり驚くべきものがあったらしい。 自分のチームではどうなのだろうか、という辺り、「顕微鏡」の「顕微」の部分だけでなく、「鏡」という意味でもある。

ファシリティマネージャーとしての自分が最も興味をそそられるのは、このツールで可視化されたコミュニケーションパターンが、改装等で変化したオフィス空間に組織が移った場合の、パターンの変化、である。 これが定性的なものだけでなく、ある程度定量的に出てくるようになると「オフィスを良くしてナンボ儲かるんじゃ!」みたいな議論からもう一歩進むことが出来そうな気がする。

オフィス内のコミュニケーションを測定・記録、というと、「監視社会」のイメージが強くなりそうで、その辺りは開発者の側も気にしているようで、下記のように対策を述べている。

- - - 以下、キーマンズネットの記事より引用 - - -

ビジネス顕微鏡は、組織に新しい知覚を与える

 組織の構成員1人ひとりの活動を全て記録するシステムというと、ついつい社員の監視、管理を強化するイメージを抱いてしまう方も多いかもしれないが、ビジネス顕微鏡が想定するのはそうした使い方ではない。

 ビジネス顕微鏡を監視ツールにしないための重要なポイントとして、組織の全員に分け隔てなく全てのデータを公開して共有することが挙げられる。上司だけがデータを把握しているのなら文字通り監視になってしまうが、トップからアルバイトまで、全てのメンバーのデータが公開されている状況ならば、ビジネス顕微鏡は組織の連帯感を高め、コミュニケーションの透明度を高める役目を果たすはずだ。

 ビジネス顕微鏡は、2007年6月の発表以来、数百人規模の実証実験が行われている。その実証実験を通じて、ビジネス顕微鏡が、個々人の活動やコミュニケーションの振り返りと改善につながることはもちろん、オフィス環境や組織構成の優劣を定量的に分析するのにも役立つことがわかったという。

 これまで組織の成長・改善を促すための方法は「コミュニケーションを密に取る」、「進捗の報告を欠かさず行う」など、漠然とした言葉に頼ることが多かった。
 これは組織の姿を知るための知覚が、言葉による報告などの定性的で曖昧なものしか存在しなかったことに起因している。

 ビジネス顕微鏡は、センサネットという新しい技術を通じて、組織とそれを構成するメンバー全員に全く新しい知覚を与え、より客観的に組織の改善の方法を探り、成長を図ることを可能とするシステムなのである。

- - - 引用終了 - - -

マイコミジャーナル記事:「社員の動きがまるわかり!? 日立、組織の活動状況を可視化する顕微鏡を試作

2008/12/17追記
日立側でのパブリシティが未だ不十分な面もあるのだろうが、このKWがGoogle検索「ビジネス顕微鏡」で5位に出てきてしまう。 まあ、順位が高いのは嬉しい気もするのだけれど、もっとネット上でこの技術に関して話題になり、議論が行われると良いと思う。

ビジネス顕微鏡に言及したブログエントリ

少し詳しいコクヨでのデモの記事

2010/01/28追記
日立サイトに、やっとある程度マトモなビジネス顕微鏡のウェブサイトが出来ていることに気づきました。 しかし、相変わらず事例の掲載無し、セミナーの予告無し。 関わっている人達も、可能性のある技術だということは認識しているのですが、なかなか離陸出来ないなあ。 今日時点でも、相変わらずこのKWのページがGoogleの検索結果のトップに表示されちゃうし・・・ 頑張れ、日立。

2010/03/24追記
ビジネス顕微鏡絡みのコミュニティミーティングが、USTで中継され、Twitterでも中継が行われた。 かなり公開での情報発信が動き始めた?

ビジネス顕微鏡

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島崎丈太
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  • 2010/03/24更新
  • 2008/12/06登録
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コメント (13)

最新コメント5件

2008/12/07

april 使う本人が、自らの気付きにつながり、最近、チーム内で話の量が少ない彼や彼女とランチしようとか、よりカジュアルに使えるのと、より前向きなインフラとなるのですが。その一方で、たとえば、職場の勤務時間を計測する道具として、トップダウンで導入する。しかも、喫煙室やパウダルームでの会話時間を測る道具となると。それはどうなんでしょうね。ということでしょうか。お金を出す方と実際にセンサをつける方がズレているところに、ビジネスとしての難しさを感じます。

島崎丈太 そうなんですよ、本文にも書いたのですが、オフィス内の人たちの前向きな道具として使えればとても良いものになりそう、しかし上から押し付ける労働管理の道具として使われたらとても嫌なものになりそうです。 開発した日立中央研究所の方たちは労働強化の道具としては全く考えていないのですけれど、そこの部分は理解が難しいところかも知れないと思っています。 極端な言い方をすると、今までは上長の腰巾着の方が、本当に後輩の面倒見の良い人より評価されていたものが、上長から見えていなかった動きの部分も評価出来るようになったとしたら、組織としては良い働きをしている人を見出すことが出来るようになるかも知れない。 

2009/01/26

空腹ライフセーバー いやん、いかに私が仕事中に、あの娘やこの娘とおしゃべりしているか、丸分かりではないですか!!あれ、あいつも彼女にちょっかい出してるのか!?なんてのも全て可視化。オフィスラブ監視ツールとして興味深いなあ。サル山の繁殖管理みたいですが(そういう使い方も有用?)

島崎丈太 おお、確かにサル山の群れの個体同士の関係を調査するサル学にも使えそうですね。(ヘビーデューティ版の開発が必要でしょうが) これは興味深い用途の一つかも。

2009/10/09

島崎丈太 ところで、2010/10/09現在、「ビジネス顕微鏡」でググるとこの関心空間のページがトップに出てしまうのだが、これは嬉しいような困ったような。 日立さん、この技術のマーケティングにもう少し力を入れて下さいませ。 ファシリティマネージャー(そして多分、心ある人事の人達)にとって、夢の技術を何とか離陸させたいと心から願っておりますので。

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