「近代日本の右翼思想」
実を言えば永らく,左翼思想に比べると右翼思想というものをちゃんと理解してないような気がしてた。あ,もちろん左翼の方のヒトに言わせれば「オマエは左翼思想だって全然分かってない」と言われちゃうのかも知れないわけだけど,現在左翼のあらかた(例外もあるのかも知れん)がマルクス路線であるのに対して,右翼って違うぢゃん。日本の右翼は天皇バンザイだしアメリカの右翼はキリスト教絶対なわけでしょ。イスラム原理主義も左右どっちだと言ったら右っぽくて,つまり今のアメリカとイランの対立なんて「右翼の内ゲバ」みたいに感じられる。そこでせめてこの本で,日本の右翼に関してだけでももそっとよく知っておこうかな,と。
著者は橋川文三(って誰だ?と訊かないこと)が1960年代に編んだアンソロジー「超国家主義」を出発点とし,ここに収録されている右翼思想家を時代や思想,その他あれこれの系譜で並べ,近代日本における右翼思想の潮流というものを概括していく。あとがきにその「まとめ」があって,それが実にとってもよくまとまっているので引用しておく。近代日本の右翼ってのは「今の日本は気に入らないから変えてしまいたいと思い,正しく変える力は天皇に代表される日本の伝統にあると思い,その天皇は今まさにこの国に現前しているのだからじつはすでに立派な美しい国ではないかと思い,それなら変えるような余計なことは考えないほうがいいのではないかと思い,考えないなら脳は要らないから見てくれだけ美しくしようと思い,それで様を美しくしても死ぬときは死ぬのだと思い,それならば美しい様の国を守るために潔く死のうと思」ったあげくに読み返しても分かるようになにがなんだか分からなくなってにっちもさっちも行かなくなってしまったんぢゃないか,と。個々の人々の思想の深淵はともかくとして,結局にっちもさっちも行かなくなったことはオレにも実によく理解できました。
あ,最後にこれは書いとく。前にもどっかで書いたような気がするが,オレは右翼にも左翼にもさしてシンパシーを感じてない。つうか,世の中のヒトってのは「右翼とか右寄りのヒト」と「左翼とか左寄りのヒト」の2種類に分けて考えるよりも,「右だの左だの自分がどーであるかはっきりさせ,ついでに他人にもそれへの賛同を強いずにはおれないハタ迷惑なヒト」と「そういうことをしないヒト」の2種類に分けて考える方が正解ぢゃないのか。つうか,そういうモノサシを当てると,右翼のヒトと左翼のヒトはまるで一卵性双生児のようにソックリでしょ? 結局にっちもさっちもいかなくなっちゃうところまで,さ。
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